少子高齢化が叫ばれて久しい日本社会。「成長して所得が高くなると、どの国でも出生率は下がるものだ」とも言われますが、実際には賃金格差の拡大による影響が大きいようです。ここでは、前日銀副総裁の岩田規久男氏が、他国の政策やデータと比較しながら、日本の少子化について解説します。 ※本連載は、書籍『「日本型格差社会」からの脱却』(光文社)より一部を抜粋・再編集したものです。
「所得が低すぎて、子育てなんて…」他国の“政策”と比較した、日本社会の恐ろしい行く末 ※写真はイメージです/PIXTA

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スウェーデンの育休は「390日間、給与の8割が保障される」

日本では、1990年以降、年少人口(15歳未満)の人口比率が低下し続ける一方で、高齢者(65歳以上)の人口比率が上昇し続けている。両者の人口比率が逆転し、高齢者人口比率が年少人口比率を上回るようになったのは、折しも、日本が消費者物価指数で見て、デフレに陥った98年である。

 

少子・高齢化の進展の結果、働き手である生産年齢人口比率は、ピークである1992年の69.8%から、2019年には59.4%まで低下した。このような少子・高齢化が急速に進んだのは、出生率が低下する一方で、平均寿命が延びたからである。

 

日本の合計特殊出生率は、2018年時点で世界196ヵ国中183位の低さで、主要国の中では最低の部類に属する(IMFの定義による先進国のうち18年時点で日本よりも低い国は、イタリア1.29人、シンガポール1.14人、韓国0.98人など)。

 

05年には1.26人にまで低下し、その後、上昇に転じて18年現在では1.42人であるものの、フランス、スウェーデン、アメリカなどの1.8~1.9人を大きく下回っている。

 

フランスの合計特殊出生率は2000年代初めから上昇したが、その要因としては、出産・育児と就労の選択肢を拡大する家族政策が挙げられる。

 

スウェーデンも出生率が高く、これは育児休業制度や保育環境が充実しているためである。例えば、スウェーデンの育休は両親合計で480日もあり、そのうち390日間は給与の8割が保障される。

 

なお、ドイツの合計特殊出生率は2013年頃から上昇に転じ、16年には1.6人にまで上昇したが、それは、移民のうち多くの女性が出産適齢期を迎え、彼女たちの出生率が上昇したためである。