中山てつや氏は著書『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』のなかで、職場における諸問題について語っています。本記事では、中山氏のキャリアコンサルティングとしての実務経験をもとに、日本の企業における問題点を考察していきます。今回は、相性の悪い上司とどのように向き合っていくべきか、見ていきましょう。
上司と馬が合わず…入社半年の会社員が「部署異動」を希望した結果 (※画像はイメージです/PIXTA)

 

「会社で働いている限り、部下は、上司から言われたことだけをすればいいんです。それ以上のことをする必要はありません。指示された仕事が終わったら、後は上司に預けてしまえばいいのです。その結果どうなろうが、部下には関係ありません。責任はすべて上司にあるわけですから」

 

この話は、当時の私にとって衝撃的な内容でした。おそらく、日本で働く多くの会社員がそうであったように、「仕事は自分の納得がいくまで、とことん突き詰めないといけない」という信念で、日々の業務に取り組んでいたからです。

 

「部下は、上司から言われたことだけをすればいいんです」というくだりは、その後もしばらくの間、頭から離れません。加えて、それまで仕事に対して抱いていた観念が、「単なる思い込みに過ぎない」ということに気づきます。

 

社員ひとりでできることなど、たかが知れています。個人レベルの仕事の結果いかんで、会社がひっくり返るような事態にはなりません。

自分のアイデアを提案する際、注意すべきことは

上司は往々にして、「この仕事には、社運がかかっている。失敗は決して許されない!」などと発破をかけますが、大号令の裏には、「失敗でもすると、自分の出世に影響してしまう……」といった自己防衛的な心理が、無意識のうちに働いているものです。

 

仮に、社運がかかっているとしたら、責任は、もっと上の地位にいる「偉いさん」にあるはずです。従って、部下は、いつもと変わらず整々粛々と、指示された業務に取り組めばいいのです。仕事が終わった後は、上司にぶん投げて「業務終了」です。

 

「もっといいプランがあったら上に提案して、会社や部門の業績に貢献したいんです」という、前向きな社員もいるかと思います。とても大切な姿勢だと思います。その気持ちがあると、個人としてのスキルアップにつながりますし、キャリアの構築にも大いにプラスになります。

 

しかし、ひとつだけ注意しなければならないことがあります。それは、「自分のアイデアを提案する時は、相性の良い上司に対してのみ行う」ことです。

 

相性の良い上司であれば、その話を前向きに聞いてくれるかもしれません。また、積極的な姿勢も評価してもらえるでしょう。場合によっては、アイデアを採用してくれるかもしれません。