中山てつや氏は著書『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』のなかで、職場における諸問題について語っています。本記事では、中山氏のキャリアコンサルティングとしての実務経験をもとに、日本の企業における問題点を考察していきます。
「今すぐにやめるんだ!」で損失は数億円も…社長の取り扱い方 (※画像はイメージです/PIXTA)

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会社の方針に従ったはずが、上司に叱られることに…

時代は、バブル真っ盛りの頃。上司に呼ばれて、デスクまで行くと、

 

「おい。どうして今月のこの台数、こんなに少ないんだ?」

「はい。先月出た方針の通り、今月は台数を追うよりも、付加価値の高い製品にシフトして、単価を上げてみました。金額ベースでは、かなりいい線いったと思います」

「それは先月の話で、今月も台数なんだよ。台数落としちゃダメだよ、ダメ! 来月は絶対に台数やれよ、分かったな」

 

会社の方針に従って、簡単ではない施策にチャレンジし、それなりの成果を出したのですから、おほめの言葉でももらえるのではないかと、内心期待していました。ところが、結果は逆で、思いっきり怒られてしまいます。

 

「では、あの単価を上げるという方針は、どうなったんですか?」

 

納得がいかなかったので聞き返すと、

 

「そんなものはもうない。台数シェアの追求あるのみだ」

 

回答は至って簡単、今までと何も変わらない、安売りの推奨です。正直、その方針に嫌気がさしていた頃だったので、「付加価値へのシフト」はとても魅力的に感じていました。

 

「よし、一丁やってやるか!」

 

そう意気込んでいた矢先に、出鼻をくじかれた格好で、その瞬間は、腹が立ったのを覚えています。しかし、会社の方針は方針です。何よりも、上司からの指示です。

 

「はい、分かりました。台数ですね、台数をやればいいんですね」

 

冷静に考えれば、あれほど台数シェアにこだわっていた会社が、そう簡単に方針転換できるはずもなく、たとえしたとしても、成功する保証はありませんでした。従って、当時の「初志貫徹主義」は、理にかなっていたのかもしれません。

 

会社の方針は、意に反して、突然変更になることがあります。

 

内容は、全社的な経営判断に基づく重要事項から、極めてローカルなルール変更に至るまで、千差万別です。しかし、その方針に則って成果を出すことで、給料をもらっているのも事実です。そう考えると、「方針転換」にも、ついていかざるを得ないことになります。