介護チームが崩壊…費用をギリギリまで切りつめるケアマネの罪

相沢 光一
介護チームが崩壊…費用をギリギリまで切りつめるケアマネの罪
(※画像はイメージです/PIXTA)

介護と仕事の両立は難しいものです。簡単に結論を出せる問題ではありません。 ※本連載は相沢光一著『介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ』(河出書房新社)より一部を抜粋、再編集したものです。登場するケアマネの方々、サービス事業者の方々のお名前は、すべて仮名です。

思わず耳を疑った、ケアマネのひと言

翌日のことです。和田さんが車椅子を手配し、搬入に向かおうとしていたところ、ケアマネの河野さんから電話が入ったそうです。

 

そしていわれたのが「月額300円の車椅子に変えなさい」という言葉でした。

 

サービス事業者が利用者と交わした契約はケアマネに報告することになっているので、河野さんはこの日、それを確認し、自分の意図と違ったので連絡してきたのです。

 

なぜ「変えろ」といわれたのか理解できなかった和田さんは、家族の了承を得ていることや、月額600円のタイプを勧めた理由を説明しようとしましたが、河野さんは聞く耳をもちません。

 

そして「本田さんには月額300円の車椅子を届けてください。『いまのお体の状態なら、このタイプでいいと判断しました』とかいえば納得してくれるはずですから。それからいっておきますが、利用者さんに介護の知識がないのをいいことに高い車椅子を押しつけるようなことはしないでください」。河野さんはそういって、電話を切ったのです。和田さんは耳を疑ったといいます。

 

「私には高い車椅子を押しつけようなんて気持ちはこれっぽっちもないわけです。月額300円の車椅子も短時間の移動だけなら用を成しますが、長時間の利用には向きません。利用者さんは苦痛を感じますし、そのストレスで体の具合を悪くする可能性もあります。デイサービスで使えば、そのつらさに『もう行きたくない』とおっしゃるかもしれませんしね。私は福祉用具レンタルのプロとして、利用者さんにもっとも合った車椅子をお勧めしたわけです。

 

また、レンタル料がいちばん高い1万2000円、つまり利用者さんのご負担が月額1200円のタイプを勧めたのならともかく、少しグレードの高い600円のタイプです。ケアマネがいう300円のタイプとくらべたって、利用者さんの月額負担は300円のプラスにすぎないですし、ご家族も納得されているわけです。

 

それに、ウチの会社が得る介護報酬にしても、3000円と6000円では売上も大差はありません。『高いタイプを押しつけている』という、まるで私が悪徳業者でもあるようなケアマネの言い方には、正直カチンときました」

 

とはいえ、ケアマネの方針は曲げることはできず、本田さん宅には月額300円の車椅子を搬入したそうです。

 

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介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ

介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ

相沢 光一

河出書房新社

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