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大卒30歳会社員、年収523万…FIRE実現への道のりは?
Financial Independence, Retire Early、略してFIRE。「経済的自立と早期リタイア」を意味する欧米からはじまったムーブメントは、2010年以降、日本でも急速に広まり、よく耳にすることが増えました。
ただ、よく目にする言葉ではあるものの、実際にFIREを実現したという人が周りに存在するかといえば、「いない」という人も多いのではないのでしょうか。
FIREも早期リタイアも、定年前に定職から解放される点では同じです。早期リタイアは、リタイア後は仕事をせず貯蓄などで生活していくことを前提にしていますが、FIREは投資などによる不労所得で生活費を確保し、貯蓄を切り崩すことなくリタイアを実現するスタイルです。
FIREには「年間生活費の25倍の資産を確保し、投資などで年利4%の運用益をあげて生活費をまかなう」という「4%ルール」というセオリーがあります。
この4%という数字は米国の株式市場に基づくもの。この利回りで運用を続けていけば、インフレを考慮しても資産は目減りしないと考えたものです。4%の利回りには税金については考慮されていないので、実際は4%以上を目指すことになります。
FIREを実現させるための最初の難関となるのが、「年間生活費の25倍の資産を確保する」ということです。
生活費の25倍……なかなかイメージが付かないと思いますが、たとえば総務省『家計調査家計収支編2020年』によると、二人以上世帯の消費支出は月間30万5,811円。単身者の平均は16万8,965円。独身であれば、その300倍、約5,000万円の生活費が確保できていれば、最初の関門はクリアというわけです。
では30歳の会社員が、将来、FIREを実現させるためのプランを考えてみましょう。金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(令和2年)』によると、年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合は、平均13%。また厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』から大卒男性会社員の平均年収は30代前半で523万4900円。手取り額は約2割引いた額といわれているので、そこから年間の貯蓄額を考えていくと、約55万円となります。
■大卒男性会社員平均年収
「20~24歳」334万2100円
「25~29歳」440万4900円
「30~34歳」523万4900円
「35~39歳」610万3500円
「40~44歳」687万6100円
「45~49歳」758万6300円
「50~54歳」869万0100円
「55~59歳」835万6000円
「60~64歳」569万2200円
「65~69歳」490万5100円
「70歳~」483万8300円
出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より推計
貯蓄だけで5,000万円近くを貯めるととなると、会社員人生が終わってしまう……。これがFIREの現実です。会社員をしながら貯蓄を進める一方で、投資によって資産を増やしていかなければいけません。