(※画像はイメージです/PIXTA)

企業や店舗だけでなく、病院やクリニックといった医療機関すらも悩ませる「クレーマー」の存在。なかには根拠のない医療ミスを訴えるなど、悪質な行為を繰り返す者もいる。被害を避けるためには、最初の対応が肝心だという。弁護士の渡邊泰範氏に、法的観点からの適切なクレーム対応を紹介してもらった。

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医療トラブルを扱うことのできる弁護士は少ない

一般企業と異なり、医療機関のトラブルは多岐かつ専門性が高いという特徴があります。そのため、医療トラブルを扱うことのできる弁護士は、実は少ないといわれています。今後数回にわたり、医療機関における法律問題について解説します。

 

本稿では、ご相談の多い「クレーム対応」について,医療機関におけるクレームの特徴や対処方法をご紹介します。

「クレームの内容」の見極めが肝心

医療機関から患者のクレーム対応の相談を受けることがよくあります。医療機関に対する悪質なクレーマーは“モンスターペイシェント”とも表され、まるでモンスターのように医療機関を悩ませる存在です。

 

悪質なクレーマーは理不尽な要求を突きつけ、スタッフを長期間拘束し、煩わしい事務処理を増やします。時には暴言や暴力に及びます。さらには、訴訟提起やインターネットへの書き込みなどによる風評被害も起きかねません。

 

医療機関と患者は継続的な関係を築いていることも多く、また応招義務との関係もあり、クレームを受けたからといって直ちに関係を断つことが難しい場合があります。もちろん患者のクレームが正当な理由に基づく場合も少なくありません。

 

医学的に問題がないにもかかわらず医療ミスを主張する場合、医療従事者からすると単なる言いがかりに感じるかも知れません。ところが、医学的知識の乏しい患者本人の認識としては、正当なクレームをつけているつもりであることも多く、より問題を複雑化していると言えるでしょう。そのため、クレームを受けた場合、内容を見極めることが大切です。

 

患者からのクレームの全てが、根拠のないものであるとは限りません。医療機関側の不手際を正当に指摘しているなど、傾聴に値するクレームも少なくありません。そのため、悪質なクレームなのか、それとも根拠あるクレームであるのかを見極めることが極めて重要です。

 

まずは、患者自身の言い分をよく聞き、事実関係、患者の認識だけではなく、具体的な要求内容を把握する必要があります。単なる愚痴の類なのか、医療機関に謝罪や改善を求めているのか、損害賠償を求めているのかについては、正確に把握する必要があります。

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