(写真はイメージです/PIXTA)

贈与により取得した財産の価額が基礎控除額を超える場合には、贈与税がかかります。しかし、どのような行為が贈与税の課税対象となるのか正しく把握しておかないと、基礎控除額の範囲内か否かの判断も出来ません。本記事では、贈与税の課税対象となる贈与財産の範囲について、会計事務所Lirio代表で税理士の野口裕太氏が解説します。

親がローンを肩代わりしても「みなし贈与」の可能性⁉

債務免除・肩代わり

 

借金を免除した場合や、肩代わりした場合もみなし贈与とされる可能性があります。

 

例えば、親が子にお金を貸していてこれを免除した場合や、親が子のローンを代わりに返済した場合などはみなし贈与とされる場合があります[図表3][図表4]。

 

[図表3]個人的なお金の貸し借りがみなし贈与になる例
[図表3]個人的なお金の貸し借りがみなし贈与になる例   

 

[図表4]ローンを肩代わりした場合
[図表4]ローンを肩代わりした場合

 

また、住宅ローンに関連して、不動産の名義(所有権)と購入資金が異なる場合にもみなし贈与の問題が生じることがあります。

 

例えば、名義は夫婦共有だがローンの返済は夫が行っている場合や、名義は夫だがローンの返済は夫婦で行っている場合などはみなし贈与とされる可能性がありますので、住宅購入時には注意が必要です。

 

無利息での金銭の貸し借り

 

無利息や著しく低い利率での金銭の貸し借りもみなし贈与とされる可能性があります。

 

とはいえ、身内同士の貸し借りで利息を取るケースの方が実際は少ないものと思います。実務上は、贈与税の基礎控除額110万円の範囲内であれば無利息でも問題ないと考えます。

 

なお、実質的には贈与であるにも関わらず形式上貸借としている場合や、「ある時払いの催促なし」や「出世払い」といった貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われます。

 

不動産や有価証券の名義変更

 

不動産や有価証券の名義変更を無償で行う場合も、みなし贈与とされます。

 

親が建てた家を子の名義にすることも同様ですので注意が必要です。

 

離婚による財産分与

 

通常、離婚により財産分与を受けた場合に贈与税が課税されることはありません。

 

ただし、分与された財産が諸般の事情を考慮してもあまりに多額の場合や、離婚自体が相続税や贈与税を免れることを目的としている場合には、みなし贈与とされる可能性があります。

 

ここでは、贈与税の課税対象となる贈与財産の範囲について解説してきました。

 

なお、一部の財産については、財産の性質や社会政策目的、国民感情等の観点から課税対象とすることが馴染まないものもあり、例外的に「非課税財産」とされています。

 

みなし贈与に該当することを知らず贈与税の支払いを怠ってしまった結果、税務調査で指摘されて多くの税金を払わされるというケースも散見されます。

 

また、みなし贈与の判断には明確な基準がないため、ご自身で判断するのはなかなか難しいかもしれません。もしも判断に悩んだ際には、専門の税理士に相談することをおすすめします。

 

 

野口 裕太

会計事務所Lirio

公認会計士/税理士/行政書士

 

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