高齢者を「支え切れるか?」2040年度の社会保障負担
ちなみに、社会保障費はいまや歳出の3割強を占めているが、その財政の支え手に関する懸念もある。政府の見通しによると、社会保障負担額は2018年度の117.2兆円から、2025年度が150兆円前後、2040年度には210兆円前後にまで拡大する見込みとなっている([図表2])。
2025年度は、就職氷河期世代のうち団塊ジュニア世代の親の介護問題が顕在化するとみられる時期、そして、2040年度は、団塊ジュニア世代自身が高齢化し貧困リスクが高まる時期と重なる。
この見通しを基に、生産年齢人口1人当たりの負担を機械的に計算すると、保険料負担の一部は高齢者が負担するため、幅を持ってみる必要があるが、現状の約155万円に対して、2025年度はその1.3倍の約210万円、2040年度は2.3倍の約355万円と大幅に拡大していく。人口の減少により、負担総額以上に1人当たりの負担額の拡大ペースが大きくなる姿だ。
このような負担増大に対して、就職氷河期世代や、より若い世代の経済力が、以前の現役層と比べて細るなかで、この先、高齢者や社会保障の枠組みそのものを支え切れるか非常に懸念される。
下田 裕介
株式会社日本総合研究所 調査部 主任研究員