(※写真はイメージです/PIXTA)

営業はランチのみ、どんなに売れても1日100食限定と、従来の業績至上主義とは真逆のビジネスモデルを実現する京都の国産牛ステーキ丼専門店『佰食屋』。代表の中村朱美氏は、新人スタッフの配属など店舗のチームづくりにあたり、「能力」よりも重視していることがあるといいます。中村氏による「チームづくり」の名采配を見ていきましょう。※本記事は『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』(株式会社ライツ社)から一部を抜粋・再編集したものであり、本文中の店舗情報は現在と異なる場合があります。

「孤独」を作らないためのマネジメント

一点、ここだけは間違ってはいけない、と考えているのは、従業員同士がただの「仲良しグループの集まり」にならない距離感を保つこと、です。

 

たとえば、佰食屋は業務連絡をLINEのグループチャットで行なっています。店舗ごとのグループ、店長だけ、正社員だけ、アルバイトだけ、グループそれぞれにわたしと夫、そしてエリアマネージャーが参加しています。そこでは、急な体調不良や家庭の事情による休みの連絡や人事申請のやりとり、仕事上の相談など、業務に必要な最低限のやりとりが行われます。

 

そして、わたしからの投稿にはたいてい「返信不要」と但し書きをつけます。「わかりました」といった承諾や、スタンプの連打が起こらないようにするためです。

 

プライベートでもよくありませんか? 自分が気づかないうちにグループ内が盛り上がって、数十件も通知が溜まっていること。「一部が勝手に盛り上がっている」と疎外感を覚えることがありますよね。

 

コミュニティは、ある一定の期間が経つと、その中にさらに小さなグループができてきます。すると、そのグループに入れなかった人は、途中からはなかなか仲間に入れてもらえず、そのそばで疎外感を募らせ、孤独を感じてしまいます。そしてさらにグループが分かれると、グループ同士がギスギスしたり、排他的になってきてしまう。

 

わたしは、その孤独をつくりたくないのです。

 

プライベートではよくあることですが、せめて佰食屋のなかだけは「内輪ノリ」に戸惑うことなく、「普通に気持ちよく働ける場」として機能させたい。そんなふうに、マイノリティの視点で物事を考えることが、わたしのマネジメントの基本姿勢にあります。

「マイノリティの視点」に立って考える

中国からの留学生Bさんには、「日本語勉強中」というプレートをつけてもらうことにしました。すると「お客様がやさしくしてくれて、とても嬉しいです」と言います。では、耳の聞こえにくいHさんもなにかプレートをつけているのか、というと、実はなにもしていません。

 

Hさんが入社したとき、「オーダーがわかりやすいように、目でわかるランプをつけましょうか?」と聞いたところ、「特別扱いはしなくていい」と本人が頑なに断ったのです。

 

そういう場合は、本人の意思を尊重します。大切にしたい価値観は、人それぞれです。そうやって、従業員一人ひとりが気持ちよく働ける環境を整えながら、仕組みで解決できることはなるべく仕組みで解決していきます。

 

よくよく考えれば、佰食屋が電話予約不可なのも、日本語の話せない海外の人や耳の聞こえない人などに不利になってしまうから。これも「マイノリティの視点」と言えるかもしれませんね。

 

 

中村 朱美

株式会社minitts

代表取締役

 

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売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放

売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放

中村 朱美

ライツ社

各メディアで話題沸騰中の「佰食屋」店主、初の書き下ろし著書。 ・ランチのみ、の国産牛ステーキ丼専門店 ・どんなに売れても、1日100食限定 ・営業、わずか3時間半 ・インセンティブは、早く売り切れば早く帰れる ・飲…

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