成果を出し続けなければ生き残れないのは、個人も同じ
ワークでは、まず「自分株式会社」事業計画を作ってもらいます。そのために、自身の経験を棚卸しします。提供できる価値から、仕事領域をイメージします。市場の分析をして戦略を考えます。そして、理想のビジネスを考えてみます。
事業計画を作ってみることで、いろんなことが見えてきます。自分はどんなところに、どんな価値を売り込める人間なのか、をイメージできるようになります。
「自分株式会社」が人を雇うとすれば、いくらの給料を払えるか、想像することにもなります。それは、自分自身も含めて、です。「自分株式会社」は、あなたにいくらの給料を払えるでしょうか。
会社が給料を払うというのは、そういうことなのです。もらう立場では、どうしても考えが甘くなる。しかし、払う立場になれば考えはシビアになります。会社の経営者というのは、そうやって給料をとらえているわけです。その感覚を体験することができます。
そして実際に起業するわけでもないのに、「自分株式会社」について考えるのは、もうひとつ理由があります。すでにお気づきかもしれませんが、キャリア戦略は、事業戦略に極めて似ているからです。
どんなドメインを定め、何を優先して競争するか。悲観・楽観の絵を描いて、いかに二の矢、三の矢を用意しておくか。会社は成果を出し続けなければ、生き残れません。売上、利益がなくなれば、倒産するしかない。しかし本来、それは個人も同じなのです。
成果を出し続けなければ、生き残ることはできません。そのための努力をし続けなければならないのです。
この感覚を身につけて転職市場に出ていくのと、「雇われるのは当たり前」「給料をもらえるのが当たり前」の感覚で出ていくのと、圧倒的な差がつくことはご想像いただけると思います。
そして「自分株式会社」を考えることで、「本当の自分の売り」も見えてきます。やってきたことと売りは違う、ということにも気づけます。ピント外れのスキルをアピールしてしまわずに済む。自分目線の強みを言わなくなります。
相手目線で、強みを考えられるようになります。ワークは簡単なものではないと思います。もしかしたら、書けないところもたくさん出てくるかもしれません。しかし、それはそれで構いません。埋められなくてもいい。考えることにこそ、価値があるからです。
黒田 真行
ルーセントドアーズ株式会社
代表取締役