オードリー・タンの母、李雅卿氏が創設した学校「種子学苑」。子どもたちは、何を学び、いつ休むかを自分で決める自主学習を行います。ある日、生徒が学校生活に対する不平不満を同氏に打ち明けました。 ※本連載は書籍『子どもを伸ばす接し方』(KADOKAWA)より一部を抜粋・編集したものです。種子学苑に集う子どもや親、先生から寄せられた質問に、同氏が一つ一つ答えていきます。
「学校をやめて、家で勉強したらダメ?」オードリー・タン母の答え ※画像はイメージです/PIXTA

オードリー・タンの母が語る「2つの秘密」

一つ秘密を教えましょう。ほとんどの大人は子育ての重圧に悩んでいます。だから子どもの「自力で勉強したい」という気持ちがいい加減なものでないと分かれば、応援してくれるはずです。

 

人によって不安要素は様々ですが、それを取り除く方法を知っている大人はたくさんいます。とはいえ、やはり最初に一人は大人を説得する必要がありますね。

 

とても面倒くさそうな作業でしょう。でも天風は自分の決断を一度だって後悔したことはありません。その理由は、「この生活を始めたことで、本当の喜び、本当の悲しみとは、人に押し付けられるものではなく、自分で感じるものだと気づけたから」だそうです。自分の人生は自分で選ぶもの。天風の言葉を借りれば「他人のせいにはできない」ものなのです。

 

天風からあなたに伝言です。

 

「『一人で学んでも成就しない』なんて思う必要はないよ。どんな場所にいようと、新しいことをやってみると、自分自身や世の中に様々な境界線があることに気づかされる。それに、時間はかかると思うけど、世間の人が思うほど『学ぶ』の意味は複雑じゃないと分かる日が来るはずだよ」

 

天風によれば、あなたが今一番するべきことは、大げさに考えすぎず、不安を捨てて遊びに行くことだそうです。

 

もう一つ秘密を教えましょう。「自力で学ぶ」ための場所は家の中とは限りません。難しさや達成感はそれぞれ違いますが、多くの人が学校でも「自分一人での学習」を行っています。大切なのは学習者の意識で、場所ではありません。自分の意志で選択しさえすれば、それに適した能力は後からついてくるものです。

 

「天風のような学習は気楽そうに見えて、実はとても難しい。学校では大人が全て決めてくれるから、生徒はじっと座っているだけでいいけれど、天風は何をするにも一つ一つ自分で進めないといけない」と言った人がいましたが、まさにその通りだと思います。

 

もし学校にいれば、「だらだら過ごす」なんていとも簡単なことだけれど、家にいて自力で勉強している人は、それすら真剣に方法を考え出さないといけません。

 

それでもこの道を選びますか?

 

 

李 雅卿(リー・ヤーチン)

種子学苑 創立者