オードリー・タンの母、李雅卿氏が創設した学校「種子学苑」。子どもたちは、何を学び、いつ休むかを自分で決める自主学習を行います。ここでは、学苑に通う生徒の保護者から寄せられた悩み・質問に、同氏が答えていきます。 ※本連載は書籍『子どもを伸ばす接し方』(KADOKAWA)より一部を抜粋・編集したものです。
「うちの子は友達に好かれていない?」母の悩みを教師がズバリ解説 ※画像はイメージです/PIXTA

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博博(ボーボー)母の悩み「うちの子どもは…」

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友達ができたと思ったのに、子どもがまた学校でケンカをしてしまいました。うちの子どもは、友達に好かれていないのでしょうか?

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博博(ボーボー)が入学して一学期が過ぎました。この学苑に入ったことで博博は劇的に変化し、緊張から解放され、何でも恐れず挑戦するようになりました。私たちもはじめは喜んでいたのですが、すぐに博博の友情が長続きしないことに気づきました。新しい友達ができても、何日か経つと仲たがいするのです。

 

その後、お母さんは博博にたくさんのおもちゃを持たせて、一緒に遊んでくれる子を作ろうとしました。この方法は確かに効果を発揮しましたが、それも最初だけでした。

 

それどころか、このおもちゃはケンカの種になりました。何日か前も、健健(ジェンジェン)と木木(ムームー)がおもちゃを隠して、それを博博のせいにしようとしました。

 

「だって博博から貸してあげるって言ってきたのに、後になってやっぱり貸さないだなんて」と健健。

 

「二人はいつもいじめてくるから、もう貸さないことにしたんだ」と博博は言い返します。

 

「どういうこと?」先生が尋ねました。

 

「いつも馬鹿にされたり、叩かれたり、嫌な思いをさせられるんです」と博博。

 

「だって嫌なやつだから! 一緒に遊びたくないのに、いつも入ってくる。あっちへ行けって言っても聞かないから、こっちから追い出したんだ」と健健。

 

「でも一緒に遊びたいのに!」と博博。

 

「こっちは遊びたくないの!」と木木。

 

先生との話が終わり、おもちゃが自分の所に戻ってくると、博博はココアの粉末にお湯を注ぎ、机の上に突っ伏しながら、スプーンを使ってちびちびと飲み始めました。その姿は、とても孤独に見えました。私は「この子も人に好かれない子なんだ」と心の中で思いました。