オードリー・タンの母、李雅卿氏が創設した学校「種子学苑」。子どもたちは、何を学び、いつ休むかを自分で決める自主学習を行います。ここでは、同校で働く教師から寄せられた意見に、同氏が答えていきます。 ※本連載は書籍『子どもを伸ばす接し方』(KADOKAWA)より一部を抜粋・編集したものです。
「みんなに嫌われる理由」を尋ねてきた生徒へ、教師がまさかの対応 ※画像はイメージです/PIXTA

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「みんなが自分を嫌う理由」を先生へ尋ねた生徒

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李先生は子どもの前で率直すぎる時があります。「なぜ友達がいないのか」と当の子どもに向かって話しかけるのは、同僚としてハラハラします。

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あの日、私に付き添われた静静(ジンジン)は、みんなが自分を嫌う理由と、自分が友達を作れない理由をあなたに尋ねました。あなたはとても驚いた顔をして、しどろもどろになり、何も言い出せないようでした。きっと本人に面と向かって欠点を言うのはおかしなことだと思い、なぐさめの言葉を探していたのでしょう。

 

でも、あの時あの子に必要だったのは、なぐさめではなく、正直さでした。そこで、この出来事から「心の中の鏡」についてお話ししたいと思います。

 

あなたは先学期にクラス担任をしていたから、静静の性格や交友関係はよく分かっていると思います。静静と勻勻(ユンユン)については、以前も職員会議で他の先生方に相談していましたね。

 

あの日は作文のクラスがあって、テーマは「モンスター大集合」でした。子どもたちが自分で描いたモンスターを発表し、それをつなぎ合わせて大きな一つのストーリーを作るというもので、みんな大いに盛り上がっていました。

 

最後に静静が発表すると、隣にいた勻勻は冷たい口調で、「気持ち悪い」「怖すぎる」と批判しました。先生やクラスメイトが静静に味方したので、その場は収まりました。

 

しかし、それを不服に感じた勻勻は、「こんな怖いモンスターを描く人は、怖い人に決まってる。みんな、静静と仲良くするのはやめよう」と言い放ちました。

 

他の生徒が目を丸くして、「これは作文だよ? 空想の話だし、森森(センセン)のモンスターの方がよっぽど怖いじゃない。勻勻はただ静静を困らせたいだけでしょ」と言うと、勻勻は顔を上げて「じゃあ勝手に友達になれば? でもこっちはごめんだね!」と吐き捨てました。