課税結果の確認をし、払い過ぎ防止と還付請求を!
固定資産税の納税通知書は毎年4〜6月ごろに届きます。確定申告とは異なり、市町村(東京23区は都)が税額を計算して通知を送ってくるため、納税者は通知された税額をそのまま支払うことがほとんどです。
しかし、あまり知られていませんが、固定資産税では土地や家屋の「時価」を示す評価額そのものが誤っていることも珍しくはありません。
誤りの内容や発生原因はさまざまです。市町村職員が情報システム端末に入力ミスをしたような単純ミスから、住宅用地軽減特例の適用を忘れてしまうといった特例の見落としのような場合まであります。
少し古くなりますが、総務省から平成24年に固定資産税の評価誤り(平成21年度〜平成23年度)に関する実態調査が行われています[図表1][図表2]。
総務省の「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果」(平成24年8月8日)では、税額修正した納税義務者数が1人以上あった市町村は、調査回答団体のうち97.0%にものぼります。
この数字を多いと見るか少ないと見るかは意見が分かれるかもしれません。しかし、誤った算定結果に気づかないと、知らないうちに今後何年にも渡って不必要な税金を支払い続けていくことになる可能性があるのです。
固定資産税の専門家はいるのか?
残念ながら、一般的に固定資産税の「専門家」といえる人はいません。固定資産税は役所から計算済みの課税通知書が送付されてくる、いわゆる「賦課課税制度」であるため、税理士もその計算方法や正誤を細かく確認する機会は限られます。会計事務所でも、固定資産税を普段から取り扱っている事務所はごく少数です。
また、税額の計算を行う全国の市町村の役所には、資産税課という部署がありますが、職員は人事異動もあるため、長年業務に携わっている職員はかなり限られてきます。
このように専門家が少ないことに加えて、膨大な数の固定資産評価のなかにはケースバイケースの評価が必要な場合も少なくありません。つまり、構造的に、入力ミスや判断ミスが生じやすい状況だと言えるわけです。
もちろん、理想はミスのない運用体制が構築されることですが、それほど簡単には変わらないかもしれません。資産を守るためには、固定資産税が適正に課税されているかどうかを、納税者自らが確認することも必要になってきているのです。
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