(※写真はイメージです/PIXTA)

相続対策の一番の目的は、相続時の税金を下げることです。しかし同時に、低リスクで投資をしたいというニーズも多いといいます。今回は、その両方を可能にする「不動産小口化商品」と「沖縄軍用地」について、税理士法人グランサーズの共同代表である黒瀧泰介税理士が解説します。

相続対策の一番の目的は、相続時の税金を減らすこと

相続対策は、よくある相談事項の一つですが、いつも悩ましいと思うご相談は、「税金も減らしつつ、リスクも低いうまい投資案件はないか」というものです。

 

ご家族に迷惑をかけたくないため、できる限り財産を相続しやすい形にしようと、生前に準備しておこうとする親心は立派です。一方で、投資する以上は儲けて財産を増やしたい、という希望が垣間見えるのも事実です。当然ですが、リスクを負わずに高いリターンを期待できるような投資はありません。

 

相続を見据えた投資の場合、大事なことは、投資によって「どこで」リターンを得るつもりか、明確にしておくことです。利回りを重視したハイリスクな投資をした結果、せっかくの相続財産がなくなってしまっては本末転倒です。

 

相続対策は、相続時の税金を減らせるようになることが一番の目的です。今回は、「税金を減らすことに効果的、かつ、リスクの低いなかではうまみの出やすい投資案件」という観点で、税理士目線から次の2つの投資についてご紹介します。

 

1)不動産小口化商品

2)沖縄軍用地

相続時に遺産分割しやすい「不動産小口化商品」

「不動産小口化商品」とは、特定の不動産を一口数万円から100万円程度に小口化して販売し、不動産の賃料収入や売却益を投資額に応じて出資者に分配する商品です。少額から不動産投資ができ、REITと異なり、現物不動産の保有者になる商品になります。

 

※REIT(リート)…投資者からの資金で不動産投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資者に配当する商品です。一般的に「不動産投資信託」とよばれ、不動産を直接保有することなく、間接的に利益を得ることを目的とします。

 

相続対策として、不動産小口化商品の最大のメリットは、すでに小口化された不動産であるため、相続の際にも分割しやすく、トラブルになりにくいという点です。

 

【図表1】不動産小口化商品を家族に相続させるケース例
 

 

一般的な不動産投資は、管理方法や将来的な売却のタイミングなどをご自身で決めることができる反面、分割しにくいため、遺産分割でトラブルの原因になる可能性があります。

 

特に相続人が複数の場合、相続対策の投資としては慎重になる必要があります。また、マンション一棟などの大型不動産を購入しようとすると多額の投資資金や借入れが必要になります。相続前に完済しなかった場合、不動産と同時に借入金も一緒にご家族に遺すことになりかねません。

 

その点、不動産小口化商品は、一口100万円程度(最低投資口数の規定あり)の少額の投資額から不動産投資を始めることができるため、借入れをすることなく、手持ち資金だけで投資することが可能です。また、物件の維持管理対応をする必要もないため、相続するご家族にも扱いやすい資産であるといえます。

 

このように、不動産小口化商品は、相続財産の評価でも実物不動産と同等の扱いになるため、実物不動産と同じく相続税評価額が時価よりも大幅に引き下げられることによる、節税メリットも高い確率で期待できます。

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