利用者・介護者との話は長くても30分…できるケアマネの条件

相沢 光一
利用者・介護者との話は長くても30分…できるケアマネの条件
(※画像はイメージです/PIXTA)

ケアマネのなかには、利用者・介護者のニーズに応えてくれない人、相談したいのに親切に対応してくれない人、困っていることも解決してくれない人もじつはけっこういるという。どうしたらいいのか。※本連載は相沢光一著『介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ』(河出書房新社)より一部を抜粋、再編集したものです。登場するケアマネの方々、サービス事業者の方々のお名前は、すべて仮名です。

ケアマネは利用者・介護者の支援をするのが役割

■ケアマネへの質問や相談は、どのタイミングがベストか

 

ケアマネと良好な人間関係を築くには、距離の取り方も大事な要素です。

 

ケアマネは職務上、公正中立でなければなりません。利用者を選り好みすることはできませんし、担当する30人前後を分けへだてなく支援することが求められるのです。そんなこともあってケアマネは、利用者・介護者には基本的に一定の距離を保たもつようにしているようです。

 

ケアマネもさまざまなタイプがいて、親しみやすく距離が近く感じられる人もいれば、対応が事務的で近づきがたい人もいます。そうした人柄の違いはあるものの、基本姿勢としては利用者に近づきすぎないようにしているそうです。

 

利用者・介護者のほうも、それを感じてケアマネへの相談をちゅうちょする傾向があります。一歩踏みこんでいけない関係がつづくわけです。しかし、そのままでいたら、同じ目線の高さの人間関係にはならず、要望を伝えることもできません。やはり、こちらから相談をもちかけるといったアクションを起こして、距離を近づけたほうがいいのです。

 

ケアマネによって訪問時間は20~30分を目安の人、1時間程度の人、無制限の人、それぞれの考え方があるそうです。(※画像はイメージです/PIXTA)
ケアマネによって訪問時間は20~30分を目安の人、1時間程度の人、無制限の人、それぞれの考え方があるそうです。(※画像はイメージです/PIXTA)

 

では、どのタイミングでコミュニケーションをとったらいいのでしょう。

 

いちばんのチャンスは、月に1回は行なうことが決められているモニタリングでの来訪時です。ケアマネの多くはモニタリングの項目を利用者・介護者に聞き、ひと通りをチェックしたら帰ろうとしますが、話が終わりそうになったとき、「ちょっとお聞きしたいことがあるのですが」と声をかけて、いま困っていることなどを相談する。ケアをしていれば、質問したいこと、相談したいことは山ほどあるはずで、それを率直に話すのです。

 

受けている介護サービスは、ホームヘルパーにしても訪問看護にしても、すべて30分以上1時間未満といったように時間で区切られています。ケアマネもそれと同じで、「引きとめてはいけない」と思っている人がいるかもしれません。

 

じつは、ケアマネの来訪に制限時間はありません。ケアマネは担当する利用者・介護者の支援をするのが役目であり、そのために話を聞くのも重要な仕事。ケアのことだけでなく、抱えている悩みなど何でも話していい相手なのです。引きとめて、話を聞いてもらうことは全然かまわないのです。

 

ただし、ケアマネは各々、利用者宅の訪問時間に対する考えがあるそうです。20~30分を目安にしている人、1時間程度と考えている人、時間無制限で話が終わらなければ何時間でも聞く人というように。これはケアマネの仕事に対する考え方によるようです。

 

短く切り上げれば、1日5~7軒というように利用者宅をより多くまわることができます。そのぶん、ひと月あたりの訪問件数も多くなります。いっぽう、無制限でひとりの話を何時間も聞いていたら、1日せいぜい1~2軒でしょう。30人を担当していれば、月に1回訪問できるかどうかということになります。

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介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ

介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ

相沢 光一

河出書房新社

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