“御用聞き”ケアマネにも注意が必要な理由
ケアマネのなかには、自分から「下から目線」になろうとする人もいるそうです。介護が始まるとき、ケアマネは「少し上から目線」にあることがふつうですが、みずから「下から目線」になるのです。腰が低く、ケアプランや介護システムにかんする説明もていねい。そして、利用者・介護者の要望を聞いてケアプランをつくります。
利用者サイドからは、すばらしいケアマネが担当になってくれたと思うでしょう。偉ぶらないし、親切だし、こちらの要望も受け入れてくれる。「この人に任せていれば大丈夫」と思えるわけです。
しかし、じつはそうでもないそうです。
「利用者さんの要望を聞いてばかりでは良くないのです。ケアマネは利用者さんの心身の状態を観察し、どのようにしたら無理なく生活を送ったうえで自立までもっていけるかを考えてケアプランをつくる。知見を総動員してつくったケアプランがまずあって、そのうえで利用者さんや家族の要望を反映させていくのです。最初から要望ばかりを聞いていたら、利用者さんのためになる良いケアプランはできません」
みずから「下から目線」になり、利用者・介護者の要望をそのまま受け入れるタイプをケアマネ業界では“御用聞き”ケアマネと呼んで、困った人と見ているそうなのです。
「性格的に気が弱いというか、人に好かれたい思いが強いというか。ケアマネとして自信がないということも考えられます」
低姿勢で親切そうに見えても、仕事に自信がもてない人が担当になったら、良い介護はできません。初対面のとき、「下から目線」を感じるケアマネは要注意なのです。
相沢 光一
フリーライター