「先が見えない…」自宅介護が限界なとき、「残される選択肢」

相沢 光一
「先が見えない…」自宅介護が限界なとき、「残される選択肢」
(※画像はイメージです/PIXTA)

「長く介護を続ける秘訣は、頑張らないこと」だという。終わりの見えない介護は息抜き、手抜きが必要だという。そして在宅介護が限界にきたとき、家族に残された選択肢は…。※本連載は相沢光一著『介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ』(河出書房新社)より一部を抜粋、再編集したものです。登場するケアマネの方々、サービス事業者の方々のお名前は、すべて仮名です。

結局、選択肢は特養と有料老人ホームなのか

一般的に「高齢者施設」といわれているところを表に挙げました。

 

インターネット上の情報では、これらの施設の特徴や入所資格(要介護度や認知症の有無)、かかる費用などを対比的に紹介しており、このなかから入所希望者の条件に合ったところを選ぶという感じで説明されています。

 

しかし、じっさいは各施設が対応するニーズは大きく異なり、選択肢としてすべてを比較検討するにはふさわしくありません。「最後まで在宅で介護をしようと思って頑張ってきたが、限界を迎えたため施設入所を考えた」という状況で考えると、いくつかは除外され、選択肢は絞られてきます。

 

公的施設でまず除外されるのはケアハウス。身寄りがなく、ひとりで生活するのが不安を感じる高齢者が入所する施設であり、該当しません。

 

 

つぎに介護老人保健施設(老健)。リハビリを行ない、機能を回復させるために入所する施設であり、回復したら自宅に戻るのが前提になります。

 

入所期間も、原則として3か月の短期。なかには回復に時間がかかって長期入所になり、その過程で結果的に看取りを迎えることもありますが、基本的には目的が異なるので選択肢には入りません。

 

民間運営では、サービス付き高齢者住宅が外れます。名称のとおり、施設ではなく住宅。高齢者向けにバリアフリーなどの設備を整えた賃貸マンションと思えばいいでしょう。サービス付きといっても、生活相談や安否確認があるぐらいで、ホームヘルパーが訪問して行なうような介護サービスは入居者が個別に頼むことになります。

 

つまり、ここに入るのは自宅にいるのと同じこと。何らかの理由で自宅を出ることになった場合に入居を考えるところなのです。

 

また、グループホームは認知症の高齢者が共同生活を送る施設。家庭的な環境で精神的安定を図り、症状の進行を遅らせることをめざしています。認知症の症状で困ったときの選択肢にはなりますが、最期まで面倒をみてくれる場所ではありません。

 

こう見ていくと、残るのは公的施設では特別養護老人ホーム(特養)と介護医療院、民間では有料老人ホームということになります。

 

このうち病院に近いイメージの施設が介護医療院です。入院の条件は慢性的な病気をもち、医療的ケアが必要なこと。医師や看護師が常駐し、ケアを担当、看取りまで対応してくれます。

 

最近の病院は、長期入院をさせてくれず、治療が終わればすぐに退院になります。介護医療院ではそんなことはなく、最期まで入院させてくれる。その意味では条件にぴったり合う施設ですが、現実には選択肢にしにくい状況があります。

 

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