スマホでの撮影はアリ?「危険運転」と認められるか
2 あおり運転の対処法
本事例のようなあおり運転は、生死に関わるケースも多いため、事前の予防策を講じておくべきでしょう。
まず「完全に違法なあおり運転か」「違法とまではいえない運転か」は微妙な問題ですので、後々争うためにも証拠の確保が重要です。このような件が頻発する今の世では、やはりドライブレコーダーの設置は必須です。最近では、後部に「ドライブレコーダー撮影中」というステッカーを貼っている車も多いですね。
ドライブレコーダーが設置されていたとしても、同乗者がいるのであれば、併せてスマホで動画を撮ってもらいましょう。あおり運転後、相手方がこちらに詰め寄ってくる場合もありますが、それでも撮り続けてください。
通常、同意なく相手のことを撮り続けても違法にはなりません。むしろ顔が割れてしまうことを恐れて、最終的には相手が逃げ帰るケースもありますので、動画撮影は非常に有効な手段です。
本事例のように、ドアやウインドウを絶対開けてはいけません。皆様もご存じのように、開いた窓越しに殴られた事件もありました。あおり運転をするような者ですから、「いきなり刺されるかも」ぐらいの心構えでいたほうが良いでしょう。
3 あおり運転の法律問題と道路交通法の「妨害運転」に関する改正
あおり運転によって、車同士の接触等で人に怪我をさせたり、死亡させたりした場合は、通常は過失運転致死傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)にあたります。
その上に危険運転致死傷罪(同法第2条)があります。大きく刑が上がり、怪我を負わせた場合には15年以下の懲役、死亡させた場合には1年以上30年以下の懲役です。
危険運転にあたるかどうかで刑が大きく違いますので、危険運転致死傷罪の要件が重要です。
ほかにも危険運転と呼ばれるケースはあるのですが、あおり運転で危険運転にあたる場合の典型例は、「人又は車の進行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、通行中の人又は車に著しく接近し、かつ重大交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」という4号の要件にあたる場合でしょう。