本連載は、執筆活動の傍ら、億単位の資産を運用する個人投資家としても知られる加谷珪一氏の著書、『30年後もお金に困らない!共働き夫婦のためのお金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)の中から一部を抜粋し、高齢となった「親にまつわるお金」の扱い方を見ていきます。

★ お金持ちになれる人 ➡ 相続がないことを前提に人生設計を行う

★ お金に縁がない人  ➡ 相続財産を最初からアテにする

 

もし幸運にして親に一定以上の財産があれば、相続税を支払った後、子供はその財産を引き継ぐことができます。しかし、一人っ子であればあまり大きな問題は発生しませんが、兄弟などがいる場合には、相続がスムーズにいく保証はありません。

日本はかなり厳しい財政状況となっており、今後、相続税の負担がさらに重くなることはほぼ確実な情勢です。仮に親に一定の財産があったとしても、それを前提に貯蓄や投資をするのは避けた方がよいでしょう。

多くの専門家がさらなる相続税の強化を予想 

相続税には基礎控除と呼ばれる措置があり、例えば3人(妻と子供2人など)が相続するケースでは8000万円まで相続税は発生しませんでした。8000万円の資産というとかなりの額ですから、ほとんどの人にとって相続税は自分とは無縁の存在でした。実際、相続税の対象となっていたのは、全体の12%程度に過ぎませんでした。

 

しかし2015年の1月に相続税の改正が行われ、基礎控除の計算方法が変わりました。新しいルールでは、妻と子供2人という同じ条件の場合、4800万円まで課税対象が広がりました。4800万円ということになると、大都市圏でちょっとした土地や家屋を持っている人の中には該当する人が出てきます。場合によっては、相続税の支払いのために家を売らなければならないケースもあるわけです。

 

専門家の多くは、今後も相続税は強化されると予想しています。したがって10年後、20年後には、さらに条件が厳しくなる可能性が高いですから、親からの相続財産をアテにすることは、少々危険な行為です。基本的には相続財産はないものとして、人生設計をした方がよいでしょう。

親の財産は「介護費用の原資と考える

子供の立場としては、親に相続財産がある場合には、それを有効活用し、親の介護費用の原資にするのがよいと考えられます。

 

不動産の担保価値が高い場合には、家を担保に老後費用の融資を受け、死亡後には家を銀行に引き渡すという「リバースモーゲージ」という商品も、少しずつですが普及しはじめています(条件はかなり厳しいですが・・・)。

 

つまり、子供が金融リテラシーを身に付け、親の資産アドバイザーになるわけです。これは親にとっても子供にとってもメリットが大きいはずです。

30年後もお金に困らない! 共働き夫婦のためのお金持ちの教科書

30年後もお金に困らない! 共働き夫婦のためのお金持ちの教科書

加谷 珪一

CCCメディアハウス

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