クーリング・オフの対処法その1…バカ丁寧に頭を下げること
学校の家庭科の授業でも習いますが、日本には、契約後の一定期間において消費者からの一方的な契約解除が認められるクーリング・オフという法制度があります。
営業マンであれば、いったん契約をしたお客様から、「やっぱりやめるわ」と、途中解約されたという経験が少なからずあると思いますので、そこをどう阻止していくかをお教えしたいと思います。
そもそも「クーリング・オフしたい」と言われないために、契約後にやっておくべきことが二つあります。
一つ目が、契約が決まり、契約書を書いてもらった時に、「今後とも何卒よろしくお願いいたします」と、頭を下げること。
契約をしたということは、お客様は内容に満足している状態です。その上で、営業マンからバカ丁寧に「今後とも何卒よろしくお願いいたします」と頭を下げられたら、お客様はどんな行動をとると思いますか? 私の経験上では100%「いえいえ、こちらこそよろしくお願いいたします」と、軽く頭を下げます。
これをすると、たとえるならば、電車でおばあちゃんに席を譲った時のような感じになります。あれって、席を譲られたおばあちゃんはもちろんハッピーですが、席を譲った側もなんとなくハッピーな気持ちになるんですよね。
このあたたかい空間をつくっちゃうと、お客様は「やっぱり他のところで契約するわ」とか「やっぱり解約したい」と言いづらくなります。
クーリング・オフの対処法その2…契約した相手の決断力を褒める
二つ目にしておくべきことは、契約後の雑談です。
雑談というのは、最初にお会いした時にするというのが定石ですが、最初の雑談はやろうがやるまいがどちらでも構いません。ただし、契約成立した後には、必ず雑談をしてください。
とはいっても、スノボの話のような趣味の話をしても何の生産性もない。契約をしたその商品に関連した業界の話だったり、関係性のある話題で雑談をするというのがポイントです。
たとえば、お客様に保険に加入していただいて、契約書を書きましたという段階では、こんな雑談をします。
「先日、ある50代のお客様と生命保険の面談をしまして、その保険を気に入っていただけたので、契約の流れになったんですが、実はそのお客様がちょっと前に大きな病気をしていて、結局保険に入ることができなかったんです。
よくよく話を聞いてみると、病気のご経験から保険の加入を考えて私と面談することを決めたとおっしゃったんですが、ただそのように必要性を感じた時にはすでに病気をしていたので保険に入れませんでした。今回、Aさんは健康なうちに正しい決断をされたと思います。そもそもこうやってスパッと決断をされるAさんは、紹介の方から聞いていた通り優秀な方だなと思いました」
こんな感じになります。お客様に伝えるポイントは二つ。
一つは「この契約をしたあなたの選択は大正解です」と念押しをすることで「ああ、自分はいい決断をしたんだ。正しい契約をしたんだ」と、安心感を与えること。
そして、もう一つは「その決断をしたあなたは素晴らしい。優秀だ」と、お客様を褒めるんです。
「私も保険の営業をやってきて、いつも保険自体の有用性はよく分かっていただけるんですが、スパッと決断できるお客様って案外少ないんですよ。それに比べて、Aさんは、決断力があってすごいですね」
という感じでワーッと褒めると、お客様も満更でもないという感じになります。
なぜこんなことをするかというと、契約後に営業マンからここまで褒められると、「やっばり不安になってきたので解約します」と後から言い出しにくくなるんです。
ちょっとセコいやり方ではありますけど、契約後に、その契約の決断を褒めることで、後々のお客様からのクーリング・オフ、または他社に奪われるといったことの可能性を減らすことができます。