ファイナンシャルプランナーオフィスのLive to Relief(ライヴトゥリリーフ)株式会社代表取締役・笹村敏夫氏が、トップ営業マンたちのトークスキルについて解説していきます。
年収1000万円以上を稼ぐトップ営業マンのセールストークに100%入っている「二つの要素」 (写真はイメージです/PIXTA)

<この連載の第1回記事はコチラから>

お客さまからの「値段が高い」…どう返すのが正解?

お客さまにお金の話をした際、最もよくあるリアクションの一つが「値段が高い」というものでしょう。

 

もちろん、そう言われたからと簡単に値を下げてしまっては、営業マン失格です、ここで、否定的なお客さまを説得するためのノウハウを一つお伝えします。

 

例えば法人営業で、大型の設備を販売する際、値段を示した途端に、お客さまから「それは高いよ」と言われたとします。

 

そこで最もしてはいけない返しは、「いやでも、これを入れれば経費が年間XX万も削減できるわけで……」などと、すぐに相手の言葉を否定することです。

 

仮にその理論が十分に正しくとも、お客さまは自分の考えをあっさりと切り捨てられたと感じます。先ほども述べたとおり、「結局人は、理論よりも感情で買う」のですから、いくらいい商品やサービスであっても、感情を害してしまえば、少なくともその営業マンからは買わないでしょう。

 

相手の意見に対し、クッションを入れて印象をまろやかにする会話の方法として「YES─BUT法」というものがあります。

 

先ほどと同じ例で説明すると、お客さまの「それは高いよ」に対し、「おっしゃるとおり、高いかもしれません。しかし、導入すれば年間の経費が……」というように、まずは「おっしゃるとおり」という「YES(肯定)」を1度入れたうえで、その後の理論を展開します。

 

こうしていったんでも相手の意見を受け入れる姿勢を見せれば、確かに多少は印象がよくなると思います。ただ、お客さまの感情を動かすには、それでは残念ながら不十分です。「意見の否定」というネガティブなハードルを、もっと下げねばなりません。

 

私が実践し、自社の営業マンたちにも伝えてきたのが、次のような「YESYESYES─BUT話法」です。

 

お客さま「それは高いよ」

営業マン「いやあ、そうですよね、そうおっしゃると思っておりました」

お客さま「だって、他社製品より明らかに高いよね」

営業マン「確かにそうなんです。だいたいXX円も高いんですよ」

お客さま「それなら安いほうがいいよ。そもそも今の設備で事足りているんだ」

営業マン「はい。私も同じ立場なら、間違いなくそう思いました。そこに費用をかけるくらいならもっと別のものにかけたほうがいいってなりますね。ではなぜそんななか、あえてこちらをお持ちしたかといいますと、実は他社製品にない機能により、結果的に年間XX円ものコストが削減できて、導入5年で黒字になるからなんです」

 

このように、相手の思いを3度肯定し、なぜ否定的なのかという複数の理由をすべて「YES」で返した後、ようやく本題に入ります。ここで大切なのは「そんなにYESを言ってしまったら相手はそれを買わないんじゃない?」と思うほど「YES」を言うことです。

 

ここまで徹底して相手の感情に寄り添うことで、「あなたは私のことを理解してこの話をしてるんだね」と意見の否定というネガティブなハードルをぐっと押し下げることができます。

 

「YESYESYES─BUT話法」を実践するためには、自社の商品やサービスに対し、お客さまが感じるであろうネガティブな要素をあらかじめ想定したうえで、それを超えるメリットを提示できるようにしておく必要があります。

 

営業回数を重ねれば、否定的意見もある程度出そろってくるでしょうから、それをきちんと集約し、対する返しを練っておきましょう。

 

 

笹村 敏夫

Live to Relief株式会社

代表取締役

 

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