介護は要介護になった人が元気になるかを判断
■受け身のままでは、介護の質は高まらない
介護サービスを受けている利用者・介護者の大半は、受け身の状態にあります。
介護の知識はほぼゼロのところから介護生活が始まります。担当になったケアマネがやってきて、要介護になった人の心身の状態を見て、どんなサービスが必要かを提案。それをもとにケアプランをつくり、利用者・介護者の了承を得て介護がスタートするわけですが、この一連の流れはケアマネが主導することになります。
基本的なことは説明してくれますが、介護をする側は知識がないため、ちゃんと理解することはなく、たいていは「お任せします」ということになります。介護は受け身から始まるわけです。
そして、ほとんどの利用者・介護者は、この状態のまま介護生活をつづけます。大半の人にとって介護は初めてですし、わからないことだらけ。ケアマネに任せるしかありません。
ケアプランは妥当なのか、家にやってくるヘルパーなどのサービス事業者はたしかな技術をもち、しっかりケアしてくれているか、そして介護を主導するケアマネは熱心に仕事をしているのか、そうした良し悪しなど考えることもなく、介護をつづけることになります。
その過程では、不満に感じることや疑問を覚えることがかならずあります。ところが、体験しているのは担当ケアマネ率いるチームのサービスだけですし、ほかの利用者・介護者がどんなサービスを受けているかを知る術もなく、良し悪しを比較することもできません。その結果、不満や疑問があっても「これがふつうなんだろう」と自分を納得させてしまうわけです。
また、ここまで「任せて」きたケアマネには、不満があってもなんとなくいいづらい感じがあるもの。気まずくなるより、「このまま任せておこう」という意識になるのです。
しかし、介護は要介護になった人が元気になるかどうか、それどころか死期が早まるかどうかが問われる重い意味をもつ行為です。受け身のまま妥協をし、黙って耐えている状態をつづけていてはダメなのです。