取引所は株売買の注文を、一定の順序にもとづいて成立させていきます。しかし実は「ザラ場」と「寄付・引け」ではその方式が少し異なります。そこで今回は、「ザラ場」と「寄付」と「引け」の用語説明を含めて、売買成立方式の違いによる投資戦略を見ていきます。
「ザラ場」と「寄付・引け」…売買成立方式の違いに着目した投資戦略 ※画像はイメージです/PIXTA

時間優先の原則はザラ場のみ適用

それでは、ザラ場と寄付・引けでは、その注文成立順序にどのような違いが見られるのでしょうか。

 

ザラ場では価格優先の原則と時間優先の原則が適用され、条件が同じであれば発注が早いものから売買を成立させる、「オークション方式」が採用されます。なおこれは、「ザラ場方式」とも呼ばれます。

 

一方の寄付・引けでは、売り注文と買い注文を一度集めて整理し、まとめて売買を成立させる「板寄せ方式」が採用されます。こちらは時間優先の原則が適用されず、すべて同時に出された注文とみなして、価格優先の原則のみが適用されます。

 

つまり時間優先の原則は、ザラ場のみで適用されるのです。

それぞれのメリット・デメリットを生かした注文を

引けの後の注文は、翌日(または後場)の寄付扱いとなります。したがって寄付の注文を出す場合は、終値を確認してから、よく考えて発注することができます。また、大引け後に何か材料があった場合なども、それを考慮して発注することができます。

 

一方の引け間際も、その日1日(または前場)の値動きを確認して、よく考えてから注文を出すことができます。

 

逆にザラ場では時間優先の原則が適用されるので、希望する価格で売買するためには、早く発注することも必要になります。しかし一方で、他者の様子を見ながら注文を繰り返すことができるなど、約定する確率が高いのもザラ場ですので、確信を持った発注ができるならば、こちらにはそういったメリットもあります。

 

それぞれにメリット・デメリットがあるといえますので、その特性を生かした売買ができるとよいのではないでしょうか。

 

■まとめ

ルールを知り、利用しよう

 

株式市場の1日には、寄付、ザラ場、引けがあります。

 

そして、ザラ場では価格優先の原則と時間優先の原則、寄付と引けでは価格優先の原則のみが適用され、それに基づいた順序で売買が成立していきます。

 

それぞれにメリットとデメリットがありますので、その特性を生かした売買ができるとよいのではないでしょうか。

 

 

株式会社ソーシャルインベストメント

取締役CTO

川合 一啓

 

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