売却した後も、株価の推移は基本的にチェックしたほうがよい
売った株のその後の推移を見るべきかどうか。答えとしては、基本的にチェックしたほうがよいでしょう。それは「売った理由」が正しかったのか間違っていたのかを、検証するためです。
株を売る際は、誰しも理由を持っているはずです。チャートを分析する人、ファンダメンタルズを分析する人、経営者の能力やブランド力など数字に表しにくいその会社の価値を加味する人など、いろいろな人がいると思います。
ポートフォリオ全体のバランスについても考える必要があります。そしてそれらを総合して、「この株価ならば、もう売ったほうがメリットが大きい」と判断して売るはずです。
しかし、それが常に正しいとは限りません。自分が頼りにしている理論に欠点があったり、分析ミスをしたりして、誤った判断で売ってしまうことは誰しもあるはずです。また、本当はまだ保有しておくはずだったのに、そこから下がることが不安になって衝動的に売ってしまう人もいるでしょう。人間は、常に間違う可能性を持っているのです。
そこで、その「売った理由」の検証が必要となります。検証の方法は簡単で、売ったあとの株価変動が、自分の予想通りか否かをチェックすればよいのです。まだ上がると思っている株を売る人はいないでしょう。ですから、売ったその株が、本当にもう上がらなくなっているかをチェックすればよいのです。
上がっていて無条件に「売ったのはミス」と考えるのは間違い
ただし、もし売った株が上がっていても、無条件に「売ったのはミス」だと考えるのは間違いです。
それが事前に予想不可能な場合と予想可能な場合があり、前者の場合はミスだとはいえないからです。その2つの場合について、考えてみましょう。
「値上がりが事前に予想不可能な場合」とはつまり、市場がおかしな判断をして株価を上昇させている、ということです。まだ業績には何の影響もないのに、その会社のニュース一つで大きく株価が上下することがあります。
「株価が上がっているから」という理由で買われたり、逆に「株価が下がっているから」という理由で売られることもあります。市場全体を見ても、実態から大きく乖離した「バブル」が起きることもありますし、逆に何らかの理由で、もしくは理由もわからず実態から大きく乖離して急落することもあります。
このように株式市場というのは摩訶不思議なものでもありますので、自分がいくら正しい理論に基づいて正しい分析をして売るべき株価で売ったとしても、さらに上がるという「偶然」も起こりえるのです。
一方、「値上がりが事前に予想可能な場合」とはつまり、自分の判断ミスで誤って売ってしまった、ということです。
その際は、自分がどこで間違えたのか、今後どうやってそのミスを防ぐか、を考えましょう。それをしなければ、今後同じミスをして損をしかねません。ただし落胆する必要はなく、自分の投資手法を洗練していくためのよい機会だと前向きに捉えればよいでしょう。