「値幅制限」と「ストップ高/ストップ安」
証券取引所は、一日の株価変動に一定の値幅制限を持たせ、制限いっぱいまで株価が変動した場合には売買を停止させます。そして株価上昇による売買停止を「ストップ高」、下落による売買停止を「ストップ安」といいます。ストップ高に直面したら「もっと上がるはずだったのに」と悔しがり、「ストップ安」に直面したら顔面蒼白といった感じでしょうか。
そんな投資家を一喜一憂する事態に直面したとき、どうしたらいいのでしょうか。考えていきましょう。
そもそも投資家たちは様々な考えを持って株式市場に参加しています。しかし株価というのは時に、急激な変動を見せることがあります。
たとえば、ある株が上がりそうだという材料が出ると、まずそれを買う人が現れます。するとそれで株価が上がったのを見て、さらなる上昇を予想して買う人がいます。そしてこの勢いならまだ上がると判断した人がそこに加わり、買いが買いを呼び、一気に株価が上昇するのです。
また、特定の投資家が大きな資金を投入して、次々と株を買い占め、それに伴って株価が急上昇することもあります。
このようにして、株価はたった1日で急上昇することがあるのです。
そしてもちろん、売りの場合も同様なので、1日で急下降することもあります。しかしそれを放任してしまうと、実態経済とあまりにもかけ離れた株価が形成されてしまいかねません。また、そんな不安定な市場にお金を投じることはできないと、投資家の不安が高まってその行動が変化し、余計に株価がゆがんでしまう可能性もあります。
そこで、このような市場の混乱を防ぎ、投資家を一定以上保護するための仕組みとなっているのが値幅制限です。取引所は一日の値動き幅を一定範囲内に制限し、それを超える金額での売買を停止しているのです。
では、東京証券取引所が定めている、実際の値幅制限の金額を以下に見てみましょう。
なお制限値幅は、前日の終値や最終気配値段などを参照に「基準値段」を算出し、その基準値段ごとに定められています。以上を見ると、取引所が最大で上下50%の幅で値幅制限をしていることがおわかりだと思います。
株価は「1日で最大50%下がる」可能性がある
ではそれを踏まえて、我々投資家はどのような心構えを持っておくことが必要でしょうか。
まずは、最悪の事態を想定しておくことです。いくら取引所が値幅制限をしていても、1日で株価は最大50%下がる可能性がある、ということを忘れないようにしてください。
もちろんそれは滅多にないことなのですが、しかし、全財産を大きなレバレッジを効かせた信用取引につぎ込むなど、50%下げたら破滅するような取引はしないことです。
取引所が保護してくれるのは、そこまでなのです。ですから、その範囲内でのリスクについては、真剣に向き合っておくべきでしょう。