取引所は株売買の注文を、一定の順序にもとづいて成立させていきます。しかし実は「ザラ場」と「寄付・引け」ではその方式が少し異なります。そこで今回は、「ザラ場」と「寄付」と「引け」の用語説明を含めて、売買成立方式の違いによる投資戦略を見ていきます。
「ザラ場」と「寄付・引け」…売買成立方式の違いに着目した投資戦略 ※画像はイメージです/PIXTA

「寄付」と「引け」、「ザラ場」とは?

まずは用語説明をしていきます。

 

「寄付(よりつき)」ですが、これは、前場(9:00~11:30)と後場(12:30~15:00)の最初の売買のことです。ただし一般的に、その日最初、つまり前場の最初の売買を指すことも多いため、後場の寄付の場合はそれと区別して「後場寄り」と呼ぶこともあります。また、寄付で成立した株価のことを指して、「OO円で寄付」などという場合もあります。

 

そして、寄付の対になるのが「引け」で、こちらは前場と後場の最後の売買を指します。ただしこちらも、前場と後場の引けを区別するために、後場の引けを「大引け」と呼ぶことがあります。また、単に取引時間終了のことを引けと呼ぶこともあります。そして引けでついた株価は、「引け値」などとも呼ばれます。

 

では「ザラ場」ですが、これは寄付でも引けでもない時間帯を指します。

 

つまり株式市場の1日というのは、前場の寄付で始まりザラ場を経て引けで終わり、後場の寄付(後場寄り)で始まりザラ場を経て引け(大引け)で終わるわけなのです。

「価格優先の原則」と「時間優先の原則」

さて次に、取引所が株売買の注文を、どのような順序で成立させていくかを紹介しましょう。そこには、「価格優先の原則」と「時間優先の原則」という2大原則があります。

 

価格優先の原則は、「買い注文は高い値を優先して成立させる」「売り注文は安い値を優先して成立させる」ということです。

 

つまり、ある株に900円の買い注文と910円の買い注文があれば910円の注文が優先され、逆に920円の売り注文と910円の売り注文があれば910円の注文が優先されるのです(この場合、910円で約定し、株価が910円となります)。

 

一方の時間優先の原則は、同じ注文価格ならば「早い者勝ち」ということです。

 

今の例ならば、910円の注文が複数出ていた場合、先に出ていた注文から約定していく、ということになります。また、910円の注文が出る以前に別の価格での注文が出ていて、そちらの売買価格が折り合えば、そちらが先に約定します。これが、時間優先の原則です。

 

ちなみに価格を指定しない成行注文では、その時点でもっとも安い売り注文価格で買い、もっとも高い買い注文価格で売るため、優先される価格がありません。したがって、時間優先の原則のみが働くといえます。早い注文順に、約定していくのです。