偶然に左右されるトレード法「スキャルピング」
株式市場では基本的に、良い業績を上げる企業の株価は高くなります。時価総額の高い企業をいくつか眺めてみても、やはり利益や資産が大きいのがわかるでしょう。また、そこに将来的な成長性も加味されると、株価は一段と上がります。要するに、良い会社の株価は、高くなるのです。
しかしそれは、長期的に形成されていきます。逆に短期で考えると株価というのは、呼吸をするかのように上がったり下がったりしているものです。
この変動は、いろいろな思惑を持った投資家の売買によって形成されるもので、なかなか規則性の見出しにくい、「単なる偶然」のようにも見えます。実際、株価の変動はランダムであるという「ランダム・ウォーク理論」というものも存在します。
したがって、ごく短期で売買をするスキャルピングは基本的に、偶然に左右され、予測不可能性の高い手法だといえます。つまり、上がる確率も下がる確率も、「五分五分に近い」取引だといえるのです。
一方の長期投資では、時間が経過していくため、大きく上がる確率や大きく下がる確率も時間とともに増していきます。そして、大きく上がる確率の高い株に投資をするためには、「投資の明確な根拠」や「先を見通す能力」が必要になってくるといえます。
このように考えるとスキャルピングというのは、上がる確率も下がる確率も五分五分ぐらいで、そして時間が経過しないため株価の変動幅が小さく、「運が良いだけで勝てる(逆に、運が悪いだけで負けることも)」「ローリスク・ローリターン」な特性を持つといえます。まずは、それを理解しておくことが大切です。
スキャルピングで「手数料」は忘れてはならない
しかしここで忘れてはいけないのが、手数料の存在です。
証券会社のプランによっては、約定金額や1日の取引回数などが一定以内ならば、手数料が無料で売買できる場合もあります。しかし証券会社というのは基本的に、手数料を収入とするビジネスモデルを持っています。取引回数や金額が大きくなればなるほど、手数料もかかるものなのです。
ですから、ごく短期間で売買を完結させ、それを何度も繰り返すことになるスキャルピングでは、その存在を忘れてはいけません。「手数料以上の売買利益を出す」ことで初めて、実質の利益が得られるのです。