※画像はイメージです/PIXTA

人が住んでいない空き家が増えています。総務省統計局の「住宅・土地統計調査」によると、平成25年の空き家の数は820万戸、住宅総数に占める空き家の割合は13.5%と、いずれも過去最高になっています。空き家が増えていることで、空き家を相続するケースも増えていくことが予想されます。相続税は、人が住んでいない空き家を相続した場合でも課税されます。しかも、家族が住んでいる家を相続する場合に比べて税額は割高になってしまいます。今回は、空き家の相続税対策について解説していきましょう。

■【相続発生後】空き家に住んで小規模宅地等の特例を受ける

相続が始まってからの対策としては、持ち家のない相続人が空き家に住むことで小規模宅地等の特例を適用することがあげられます。ただし、以下の要件があります。

 

・亡くなった人が生前にその家に住んでいた

・亡くなった人に配偶者や同居の親族がいない

・相続人は相続の3年前までに「自己または自己の配偶者」「3親等以内の親族」「特別の関係がある法人」が所有する家に住んだことがない

・相続人はその家を過去に所有したことがない

・相続した宅地を相続税の申告期限まで所有する

 

この要件は持ち家のない相続人を対象にしていることから、「家なき子の特例」と呼ばれています。

 

■【相続発生後】相続した空き家の売却で所得控除を受ける

「家なき子の特例」が適用できなければ、残念ながら相続が始まってから空き家の相続税を節税することはできません。しかし、相続した空き家を売却するときに売却益に対する所得税を節税することができます。

 

「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」(空き家譲渡特例)は、平成28年度税制改正で創設された特例です。相続した空き家を売却した場合は、譲渡所得(売却益)から3,000万円まで控除することができます。ただし、次のような適用要件があります。

 

・家屋と土地の両方を相続していること

・売却価格が1億円以下であること

・相続開始から3年を経過する年の12月31日まで、かつ、平成31(2019)年12月31日までに売却すること

・家屋は以下の要件を満たすこと

・昭和56年5月31日以前に建築された

・区分所有建物登記がされている建物(マンションなど)でない

・相続の直前において被相続人が1人で住んでいた

・相続してから売却するまで居住、貸付、事業に使用されていない

・現行の耐震基準に適合するリフォームが行われている

 

土地は長男、家屋は長女といったように別々に遺産分割すると、空き家譲渡特例は適用できないため注意しましょう。また、支払った相続税を取得費に加えて譲渡所得を計算する取得費加算の特例と併用することはできません。

 

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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