まるでオークション?行き過ぎた値引き交渉の弊害
少し極端な例ですが、筆者たちが相談を受けたお客さんで、オークションのような形で業者選定をしていたことがありました。
現地に行くと、すでに複数の業者が家の廻りを計測しています。何社いたか分かりませんが、それぞれの業者の担当者が、見積書を作るために塗装面積などを測っているのです。
不思議に思いつつインターフォンを押すと、玄関口に出てきた依頼主が「私はいろいろと忙しいので、ほかの業者と一緒に計測してください」と言います。
「見積書は必要ですか?」
「はい。ほかの業者さんと一緒に出してください。それを見て、依頼する業者を選びます」
「はあ…」
「じゃ、よろしく」
そんなやり取りをしつつ、依頼主が業者を競わせて、安く依頼しているのだろうと気づきました。
ほかの業者がどう感じるかは分かりませんが、筆者たちとしては、そのような状況で依頼を受けたとしても、熱意をもって仕事ができるとは思えません。依頼を受けるためには安くしなければならないでしょうし、安くすれば材料も制限されます。そのようなことを考えた結果「すみませんが、私は辞退させていただきます」と伝え、帰ってきました。
「安くしたい」と考える人は、おそらく「安くても仕事が欲しい」と考える業者を見つければ満足できるでしょう。
しかし、本記事をここまで読んでくれた方のほとんどは、安くすることよりすばらしい家に変えることを望んでいるのではないでしょうか。
そのためには、目先の数万円ではなく、満足できる家で過ごす数十年に目を向けることが重要です。
貴重な時間と労力を値引き交渉に使うのではなく、良い業者を見つけるため、そして、すばらしい家にするためのアイディアや提案を業者から引き出すことに使ってください。
久保 信也
株式会社リペイント匠 代表取締役
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