「一筆」に応じなければ、税務調査が長引く可能性も
質問応答記録書に一筆入れた場合の影響について、ご説明します。
■質問応答記録書の作成に応じただけで重加算税の対象とはならない
質問応答記録書は、あくまでも税務署の調査担当者の質問に対して回答した内容を記録した書類です。
そのため質問応答記録書に一筆入れたとしても、作成した書類の内容に同意しただけであり、それだけで重加算税の対象とはなりません。
一方で仮装隠ぺい行為など、意図的に税金逃れをしていた場合には、質問応答記録書が仮装隠ぺい行為の証拠としての役割を果たすため、税務署が重加算税を賦課しやすくなる性質はあります。
■一筆入れるのを拒否した場合には税務調査が長引く可能性
調査担当者が、質問応答記録書の作成を求めてきた場合に、作成を拒否することは可能です。
一方、作成の拒否や署名に応じなかった場合、調査担当者は質問応答記録書以外の証拠に基づき、重加算税の賦課を試みます。そのため再度申告書の作成経緯、相続以後の行動についての確認や、金融機関などの調査が行われ、税務調査が長引く恐れがあります。
税務署の調査担当者が一筆を求めてきた際の対処法
質問応答記録書に応じることで、納税者が不利益を受ける場合があります。そのため調査担当者が、一筆入れることを求めてきた際の対処法をご説明します。
■税務署は一筆入れることを強制できない
税務署が行う調査は、任意調査です。任意調査は、調査対象者となる納税者の同意を前提として行う税務調査であり、調査担当者は許可なく被相続人の財産を調べることはできません。
また質問応答記録書は、税務調査の記録として残す書類ですが、記録書の作成も任意です。したがって、調査担当者が質問応答記録書の作成を求めてきた際に、納税者が拒否しても法的に問題はありません。
■一筆を拒否しても税務調査の結果には直接影響しない
税務署が加算税を賦課する場合、申告誤りの内容に基づき加算税の種類を決定します。納税者が仮装隠ぺい行為を行った事実が無ければ、税務署は重加算税を賦課できません。
たとえば質問応答記録書で仮装隠ぺい行為の事実を認め、納税者が署名した場合には、記録書を作成したことで重加算税が賦課される可能性は高くなります。一方で、質問応答記録書の作成は強制ではありませんので、作成を拒否してもそれ自体が仮装隠ぺい行為とはなりません。
ただし、仮装隠ぺい行為が明らかであると認められれば、一筆に応じるか拒否するかに関わらず重加算税が賦課されることとなりますし、前述の通り拒否することにより調査が長引く可能性がありますのでむやみに拒否すれば良いというものではありません。
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