本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

2年半ぶりに利上げ実施

■メキシコ銀行(中央銀行、中銀)は6月24日に金融政策決定会合を開き、政策金利をこれまでの4.0%から4.25%に引き上げました。中銀による利上げは2018年12月以来、約2年半ぶりとなります。

 

■これまで中銀はコロナ禍で落ち込んだ景気への配慮から金融緩和を続けてきましたが、エネルギー価格の上昇を主因にインフレ水準が物価目標を大きく上回って推移していることに加えて、米国での力強い景気回復や金融政策の転換が早まりつつある状況に鑑み、今回利上げに踏み切った格好です。

 

(注)政策金利は2018年1月1日~2021年6月24日。消費者物価は前年同月比、2018年1月~2021年5月。 (出所)FactSet、メキシコ中央銀行のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
政策金利と消費者物価 (注)政策金利は2018年1月1日~2021年6月24日。消費者物価は前年同月比、2018年1月~2021年5月。
(出所)FactSet、メキシコ中央銀行のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

政策金利の見通しを上方修正

■弊社では力強さを増す米国の景気回復を織り込み、メキシコのインフレと政策金利の見通しを上方修正しました。2021年通年のCPI予想を+4.0%から+4.5%に、2021年末の政策金利の予想を従来の4.0%から4.5%にそれぞれ引き上げました。

 

■メキシコのインフレ水準は、今後も暫くは中銀の許容する水準を上回って推移するものと見込まれます。更に、今後は景気の回復傾向が鮮明になる中、中銀は年内にも追加的な利上げに踏み切るものと予想しています。

 

メキシコペソは堅調持続、ただし米国の金融緩和縮小には注意

■徐々に力強さを増す景気や輸出の好調による経常収支の黒字基調に加え、6月6日の中間選挙では政権与党が勝利するなど、政治・経済の安定が引き続きメキシコペソの追い風となりそうです。更に、今後中銀が追加的な利上げに踏み切る局面では、短期金利の上昇がメキシコペソの押し上げ要因となりそうです。

 

■ただし、米国の金融政策の動向には注意が必要です。最近の米連邦公開市場委員会(FOMC)ではゼロ金利解除の時期を前倒しする方針が示されましたが、今後も市場参加者の金融政策見通しが大きく揺らぐ局面では、他の新興市場への売りが波及する形でメキシコペソも調整する可能性があります。

 

(注1)データは2018年1月1日~2021年6月24日。 (注2)メキシコペソ/米ドルは逆目盛。 (出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
メキシコペソ (注1)データは2018年1月1日~2021年6月24日。
(注2)メキシコペソ/米ドルは逆目盛。
(出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『メキシコ中銀が政策金利を引き上げ』を参照)。

 

(2021年6月25日)

 

関連マーケットレポート

2021年5月14日 メキシコ中銀は政策金利を維持

2021年4月22日 メキシコペソは回復傾向が継続

 

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