「学習指導要領」には時代に合った教育方針が示される
まずは今の日本の教育が抱えている課題を明らかにしておきましょう。
そのヒントとなるのが、「学習指導要領」です。学習指導要領とは、全国にあるすべての学校において教育の水準が一定に保たれるように、文部科学省が定めている教育課程(カリキュラム)の基準のことです。
戦後間もない1947(昭和22)年に試案が発表され、1958(昭和33)年に現在と同様の「告示」という形になりました。以降およそ10年ごとに、その時代の教育課題に対応できるような形に改訂が繰り返されています。
例えば、1989(平成元)年の改訂では、小学1・2年生への「生活科」が導入されました。この改訂の背景にあったのは、国際化や情報化が進んでいく社会の変化です。また、いじめや不登校が社会問題化するなど、教育現場が抱える問題も深刻化していく状況にありました。そんな社会の変化に自ら対応できる心豊かな人間の育成を、この改訂では目指しました。
また、1998(平成10)年・99(平成11)年の改訂では「総合的な学習の時間」が導入されました。これは、来るべき21世紀を切り拓いていく「生きる力」の育成を目指したもので、問題解決や探究活動を主体的・創造的に取り組めるようになることを意図した改訂でした。国際化が進む社会のなかで、個性を活かしたゆとりある教育を行うことを目的とし、教育内容を絞り、授業時数の削減が行われました。
これらの改訂については、実際に自身が児童・生徒として経験したという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
あるいは、お子さんがいらっしゃる方であれば、2017(平成29)年の改訂によって、小学5・6年生で外国語が「教科」になったり、小学校でプログラミング教育が導入されたりしたことが記憶に新しいかもしれません。これは情報化やグローバル化の加速に加えて、人工知能の進歩によって急激な社会的変化をもたらす時代に必要な資質や能力を育むことを目指した改訂で、小学校では2020(令和2)年度より実施されています。
このように、学習指導要領は、その時代の社会情勢を反映し、教育の進むべき方向を示してきました。
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