商品先物市場には「資産運用機能」が働いている
■資産運用機能
商品先物取引は、現物の受渡しをすることなく、売値と買値の差額(差金)を授受することにより取引を終了させることができる取引です。これを差金決済といいます。この場合、売値と買値の差額が損益となります。また、少額の資金(=証拠金)を差し入れまたは預託する*4ことにより、その数倍から数十倍の取引を行うことができます。
商品先物市場は、これらの特徴を利用して投資家が利益を追求する、という「資産運用機能」を持っています。ちなみに、商品先物取引の利益追求方法は、次の通り、主に3種類あります。
a.価格の上昇で利益を追求
b.価格の下落で利益を追求
c.価格の上昇・下落に関係なく利益を追求
aは、「価格上昇を期待して買い、上昇したら転売する」という方法で、基本的な投資方法といえます。株式の値上がり益を追求する、不動産の値上がり益を追求する、といった一般的な投資と同じ考え方です。
これに対し、bは「価格下落を期待して売り、下落したら買戻す」という手法により利益を追求する方法です。aおよびbは、商品先物市場における基本的な利益追求方法です。
一方、cは、同じような値動きをする2商品の一方を売り、他方を買うことにより、両者の価格差の拡大(または縮小)で利益を追求する手法です。この手法は、「鞘(さや)取り」と呼ばれます。鞘とは価格差のことです。
鞘取りは、商品市場だけではなく、株式市場でも利用されている投資手法の一つです。たとえば株式の場合、同業種などの相関性の高い2銘柄のうち「割高な銘柄を売り、割安な銘柄を買う」という鞘取りが行われることがあります。
*4「差し入れ」「預託」ともに、顧客が商品先物取引業者へ証拠金を入金する、という行為。(株)日本商品清算機構への預託方法により呼び方が異なる。
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