老後資金は誰しも頭を悩ませる問題です。こんな相談が寄せられたそうです。相談者は75歳の女性。預貯金が1億円以上、年金が200万円あるにも関わらず、老後の資金が不安で夜も眠れないというのです。毎年400万円ずつ使っても25年はもちます。その女性はいったい何が心配なのでしょうか。※本連載は、長尾義弘氏、中島典子氏の共著『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。
終身で受け取れるフロー資産の筆頭は、国民年金と厚生年金です。
そのほかに契約の仕方によって状況は変わりますが、次のようなものがあります。
●国民年金基金
●個人年金保険
●企業年金(一部)
●家賃収入
●株式投資や国債などの債券
準備している老後資金の一部を、一生涯受け取れる資産へと移すのもひとつの方法です。
ちなみに、そもそも公的年金は生きている限り受給できるしくみになってはいますが、いまより額を増やす手段もあります。
それが繰下げ受給です。受給する時期を1ヵ月遅らせるごとに0.7%ずつ増えていき、70歳まで繰下げると42%もアップします。かなりいい利回りですので、検討してみてください。ただ繰下げ受給のデメリットとしては、早死にをすると損をすることになります。
老後資金の全体像が見える「退職後のお金プラン表」
貧乏定年と金持ち定年の分かれ目は、定年前の資金計画にあるといっても過言ではありません。実際にチェックシートを作成して、現時点での状況を把握しましょう(図表2)。
収入は夫と妻に分け、支出と資産は一家でまとめて書き入れます。
1円単位まで正確に計算する必要はなく、だいたいの金額でかまいません。ただし、記載する項目は漏れのないようにしてください。
住居費は賃貸料のほか、住宅ローンも含みます。イベント支出とは、リフォーム、子どもの結婚、車の買い替えなど、ライフイベントにかかるであろう費用です。子どもがいる家庭は教育費も記入しましょう。
1歳刻みで作ることに驚いたかもしれませんね。しかし、住宅ローンを完済した、国民年金の受給が始まったなど、年齢によって収支は異なるのです。
ちょっと面倒な作業ではありますが、この表を完成させれば老後資金の全体像が見えてきます。
長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー、AFP
中島 典子
税理士、社会保険労務士、CFP
NEO企画
代表
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員
徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな! 』(河出書房新社)。共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』『定年後の手続きガイド』など多数。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載金持ち定年、貧乏定年~55歳から始める「得する準備」
広尾麻布相続センター
中島典子税理士事務所 代表
税理士、社会保険労務士、CFP
起業家の創業から税務会計・資産形成・相続事業承継までのトータルサポート業務、FP関連書等の執筆、講演、子どもからシニアまでの金融経済教育で活動。
著書『会社が知っておきたい補助金・助成金の活用ガイド』(大蔵財務協会)、共著に『いまからはじめる相続対策』(日本実業出版社)、『FP技能士2級AFP 問題集&テキスト』(成美堂出版)などがある。
【中島典子税理士事務所 中島財産コンサルティング:http://tax-money.jp】
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