終身で受け取れるフロー資産の筆頭は、国民年金と厚生年金です。
そのほかに契約の仕方によって状況は変わりますが、次のようなものがあります。
●国民年金基金
●個人年金保険
●企業年金(一部)
●家賃収入
●株式投資や国債などの債券
準備している老後資金の一部を、一生涯受け取れる資産へと移すのもひとつの方法です。
ちなみに、そもそも公的年金は生きている限り受給できるしくみになってはいますが、いまより額を増やす手段もあります。
それが繰下げ受給です。受給する時期を1ヵ月遅らせるごとに0.7%ずつ増えていき、70歳まで繰下げると42%もアップします。かなりいい利回りですので、検討してみてください。ただ繰下げ受給のデメリットとしては、早死にをすると損をすることになります。
老後資金の全体像が見える「退職後のお金プラン表」
貧乏定年と金持ち定年の分かれ目は、定年前の資金計画にあるといっても過言ではありません。実際にチェックシートを作成して、現時点での状況を把握しましょう(図表2)。
収入は夫と妻に分け、支出と資産は一家でまとめて書き入れます。
1円単位まで正確に計算する必要はなく、だいたいの金額でかまいません。ただし、記載する項目は漏れのないようにしてください。
住居費は賃貸料のほか、住宅ローンも含みます。イベント支出とは、リフォーム、子どもの結婚、車の買い替えなど、ライフイベントにかかるであろう費用です。子どもがいる家庭は教育費も記入しましょう。
1歳刻みで作ることに驚いたかもしれませんね。しかし、住宅ローンを完済した、国民年金の受給が始まったなど、年齢によって収支は異なるのです。
ちょっと面倒な作業ではありますが、この表を完成させれば老後資金の全体像が見えてきます。
長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー、AFP
中島 典子
税理士、社会保険労務士、CFP