コロナ禍により、あらゆる場面で「オンライン」が活用されるようになりました。しかし営業面においては、オンラインの不便さを感じるビジネスマンが少なくないようです。直接対面する場合と比べて、カメラやマイク越しではリアクションがつかみにくい、リスケされやすい、新規開拓が難しい…。取引を順調に進めるには、どうすれば良いのでしょうか。※本連載は、大林誠一氏の著書『使命に生きる』(かざひの文庫)より一部を抜粋・再編集したものです。

商談を「トラブルなく3倍速で進める」2つの鉄則

どんな商談でも、大切なことはすべて伝えて確認しながら進めることが鉄則です。なぜなら、正しい判断をするには、正確な情報が必要だからです。

 

たとえば、お客様の決済方法ひとつをとっても、「銀行ローンなのか、自己資金なのか」と支払い方法はさまざまです。決済方法が確認できたら、期間も確認します。ローンであれば決済が長いのか短いのか、そこまで確認して判断していくのです。

 

仕事柄、1件あたり億単位の案件にかかわってきている分、細かいところまですり合わせしなければトラブルのもとになることを、わたしは身を持って経験してきました。

 

だからこそ、金額や案件の大小に関係なく、お金が入金されて、納品するまでの段取りは、どんなときにも欠かさず把握することを徹底しています。

 

何をするにしても、買い手・売り手の動きを把握し、必要な情報を集める。そのうえで、迅速にベストな判断をくだすのです。そうすれば、本当に買う気があるのか、実際に買えるのかがわかるようになってきます。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

わたしは、「ぜひ、買いたいです」という人すべてにサービスを販売することはしません。たとえば、普段4000万円の物件が、3000万円で売りに出ていたとしたら、「買いたい」と答える人はいます。

 

ところが、「買いたい」という言葉のあとに、「買うためにはどうしたらいいですか?」という質問が出ない人は、買う意思がないと判断しています。

 

どうしようか迷っているお客様には「いつまで検討されますか。何日まで待ちますね」と期限をつくり、いつまでも待つことはしません。

 

先延ばしするだけでは前に進まないので、強制的に期限を設けながら取引を進めていくのです。このやり方で、わたしはクロージング率8割を維持してきました。

 

くまなく情報を得ること、お客様との間に期限を設けること。この2つを守れば、商談はトラブルなく、3倍のスピードで進みます。

すばらしい商品である以上に「売れるかどうか」が重要

どんなに素晴らしい商品でも、

 

●売れるのか売れないのか

●売れた結果、どれくらいのお金が残るのか

 

という視点で判断する目を持ったほうがいいでしょう。

 

ある顧問先の人が「ものすごくいい権利が手に入りそうなのです。しかも在庫負担もありません」と喜んで話してくれたことがあります。

 

わたしは、「まだ現物を見ていないうえ、売り方もわからないのに喜んでどうするのですか」と返事をしました。どんなに素晴らしい特許商品でも、売れなければ意味がないのです。

「売り方まで考える」のが真の商品化

以前、開発者と一緒に銀行の支店長のもとへ出向いたとき、こんなふうに一刀両断されてしまいました。

 

「いくら素晴らしいものでも、売れなければ意味がありません。今回は大林さんが売ってくれると思うから、我々は融資をしようと思うけれど、通常はいくら熱心にプレゼンをしても、たとえ優れた特許でも、売れなければいいものとは言えないんですよ」

 

これは、ものを売るというビジネスではすべてに当てはまることです。

 

いいものであることは当たり前。それを売れるように工夫したり、売るための販路を確保することが本当の商品化なのです。

 

どんなによい商品をつくっても「売れなければ意味がない」。これはいつも肝に銘じたいことです。

「儲けたいから、金額をボカす」は値切られる原因

請け負う案件が発生したら、かならず必要経費や手数料の計算をして、

 

●できること

●できないこと

●期限

 

をすべて明確にする。

 

そのうえで、金額や条件を社内にて検討し、確定してから進めていく。これが、わたしが徹底して行っていることです。

 

ところが、思っている以上に、このことを欠いてしまう人が多いのです。わざと曖昧にしたりして、「あわよくば、もう少し予算を引き出せるかも…」などと考えているのです。

 

残念ながら、このようなやり方では絶対にうまくいきません。

 

お金まわりのことを曖昧にしている人の根底に流れているのは、「数字についてのことを言いにくい、主張できない」という思考です。

 

でも、いつまでも金額を曖昧にしたままでいると、値上げどころではなくなり、最終的に値引きすることになってしまいます。

 

じつは、儲けたい気持ちが強い人ほどお金の話をしたがらず、最後は値引きでものを売ってしまうという矛盾した状態に陥りがちです。

 

これまでにたくさんのケースを見てきましたが、「儲けたくて損をする」という状況が、驚くほど共通しているのです。

 

言いにくいと思うことほど、曖昧にせずに明確に伝える。とくにお金のことは、はじめからクリーンにしておく。そのほうが信頼が生まれやすく、相手も自分も、気持ちのよい仕事ができますよ。

 

 

大林 誠一

シーアンドシー株式会社 代表取締役

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