取引先とトラブルが発生した。クレームが来た。こんなとき、あなたはどのように対応しますか? 謝るにしても、アプローチによっては火に油を注ぐ結果となったり、表面上は許されても信頼関係が損なわれ、その後の付き合いに悪影響を及ぼしたりする場合も珍しくありません。ビジネスの「逆境」を乗り越えるためのヒントをご紹介します。※本連載は、大林誠一氏の著書『使命に生きる』(かざひの文庫)より一部を抜粋・再編集したものです。

トラブル対応は「言い訳をせずに謝る」のが最優先

ビジネスで取引先とのあいだにトラブルが起こったときには、「言い訳をせずに」謝ります。

 

起こった内容にもよりますが、本当に迷惑をかけたときには第一声で「申し訳ありません」。先方にも非があるのではないかと思うときには、「ご迷惑をおかけしてしまったようで…」と伝えます。

 

相手から返ってくる反応が「いえいえ」というものであれば、「いえ、こちらからの説明がしっかり伝わってはいなかったのですね」と、なるべく「申し訳ありません」と言わない謝り方をします。

 

もし先方が「いえいえ」と言わないような場合には、どのくらい怒っているのかの度合いを探ります。そして「気分を害されたのであれば、すぐに飛んでいきます」と言って、まずは顔を見に駆けつけるのです。

 

相手の怒りが50~100%くらいだと感じる場合には、駆けつけて「申し訳ありません。ご迷惑をおかけしました」と謝ることが先決です。そして、「どのようにすればご納得いただける形になるでしょうか?」と尋ね、なぜ怒っているのかを確認するようにします。

人間性がにじみ出る…「本当に許される人」はこう謝る

謝罪時に大切なのは、その案件の情報をすべて頭に入れて話をするということ。

 

ただ現状を把握するために何日もかけるのは、ナンセンス。謝罪は遅れれば遅れるほど、相手が不快な時間を過ごす時間が長引き、怒りがおさまりにくくなるからです。加えて、話し合いをする前から「謝れない人」という印象を抱かせてしまいます。

 

ですから、相手の怒りが大きいのなら、まずは謝罪の言葉を口にします。

 

怒りの度合いが比較的小さいと感じる場合には、オーバーアクションで電話します。相手が「わざわざ電話してもらってごめんなさい」と言いたくなるくらい謝るのです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

「来なくてもいい」と言われるとわかっていても、「飛んで行きます!」と伝える。「明日行きます!」「いや、来なくてもいいよ」というやりとりがあっても、「本当ですか。許していただけるのですか」と念押しする。

 

「あなたが電話してきたから許すよ」となれば、「承知しました。申し訳ありません。明日は控えますが、改めてお伺いします。ご迷惑をおかけしました! 何卒よろしくお願いいたします!」と言って電話を切ります。

 

後日、手土産を持参して謝罪に出向きます。「いいよ、いいよ」と言われても、「これはけじめですので。申し訳ありませんでした!」と伝えるのです。

 

「いいよ」と許してくれる相手には、とくに丁重に謝ったほうがいいでしょう。簡単に許してもらえたらからといって、油断してはいけません。ここを軽く扱うと、2回目はないからです。

 

謝罪する姿をとおして、人はその人の人間性を見極めます。だからこそ、怠ってはいけないのです。

言いづらいことも「信頼関係」と「伝え方」次第で解決

人間関係ができあがっていれば、あらゆるコミュニケーションがとてもスムーズになります。

 

言いづらいことがあったとき、わたしは発覚したタイミングで相手に伝えるようにしています。信頼関係のある間柄なら、あれこれと根回ししたり、トラブルにならないよう水面下で動くよりも、すぐに状況をお伝えしたほうが、解決も早いからです。

 

ただし、伝え方には注意したほうがいいでしょう。まともに伝えては怒りを買ってしまう場合もあります。

 

たとえば、太陽光パネルが強風で飛んで、500枚を入れ替えなければならなくなったとき、そのまま伝えると、ただ激怒されるだけです。

 

パネルを入れ替える必要があることは伝えなければいけませんが、理由まで詳細に伝えなくていいでしょう。「それは仕方がないな」と思っていただける報告をします。

 

不測の事態が起こったときには、人は「大丈夫なのか?」と不安になります。だからこそ、相手の不安を増長させるような言い方はせず、ある程度言葉を変換し、解決策とあわせて伝えるのです。

「トラブル化しない関係性」を築く日頃のお付き合い

強固な人間関係を築く秘訣は、クレームになってもトラブルにならないようなお付き合いを、日頃から心がけることです。

 

売り手と買い手の立場になると、「買い手が偉いのだから、上からものを言っていい」という関係性になってしまうケースがよくあります。

 

わたしは上下関係をつくりません。常にフラットな立場でコミュニケーションをとることを、意識しています。なぜかと言うと、そうすることで、揉めたときにも、すぐに解決に向けた相談ができるからです。

 

もっとも避けたいのは、「普段偉そうにしているくせに、困ったときだけ相談してくるね」と言われてしまうことです。

 

お付き合いしていれば、どうしてもお願いを聞いていただかなければいないことも出てくるもの。

 

そんな有事のときに「ちょっと相談があります」と、気持ちよくお伺いを立てられるように、日頃から人間関係をしっかり築いておいたほうがいいのです。

 

 

大林 誠一

シーアンドシー株式会社 代表取締役

 

 

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