「住み慣れた家で最期を迎えたい」を叶えるためには?
厚生労働省の発表したデータによると国民の終焉の場所は病院75.2%、在宅死12.5%です。市町村別の検討では在宅死が最も高率なのは兵庫県豊岡市で25.5%。一方最下位は愛知県蒲郡市の5.5%となっています。
蒲郡市を除くと在宅死が7%以下の地域には北海道、九州、東北地方の市町村が多い特徴があります。医療費高騰対策の一環として国は在宅での看取りを推進しています。
「住み慣れた家で人生の最期を迎えたい」。誰でも願っている自然の姿なのかもしれません。しかしこの願いを叶えるためには地域のバックアップ体制が必要です。
そうした体制が全国各地で整備されているのかと問うと問題山積です。独居、または高齢世帯では在宅死を望んでも現実には困難なことが多い。また交通アクセスの困難な地域では通院医療を受けることも難しい。
化石医師が訪問診療をしている患者さん宅は訪問に往復1時間半を要します。もし万が一の時、それが深夜であったり、外来診療時間内であれば緊急訪問は容易ではありません。家族が亡くなって医師に往診を頼んだら「雪が多くて行けない。雪が溶けるまで待ってくれ」と言われ、死亡診断書を書いて貰えたのは半年後だったという悲しい話が岐阜県の山間地に残っています。
在宅医療推進には家庭のマンパワーの存在とそれを支える医療体制の構築が最も大きな要因となります。
医師の減少、高齢化…「地方医療」を取り巻く環境
地域の医師と話をすると「深夜に呼び出されると勘弁して欲しいと言いたくなる」との声が聞かれます。
翌日に休養が取れればともかく診療を控えている身では深夜に仕事をすることはなかなかつらい。医師とて人間であり崇高な使命感だけではなかなか動けません。ましてやそれが何日も続いたとしたらとても動けるものではありません。
さらに医師の都会集中の中で高齢化が進んだ地域では医師自身も高齢化しなおかつ医師数も減少しています。
著者は「1人の医師の患者さんではなく何人かの医師が日により担当を決めて在宅医療を行う」。そのような提案をしていますが、これも医師数が少なければ難しいのです。
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