モノの価格は「需要と供給」で決まるのが大前提
物の値段は需要(買い注文)と供給(売り注文)が等しくなるように決まる、というのが経済学の大原則です。買い注文が多ければ値段が上がっていき、売り注文と等しくなるまで値上がりが続くからですね。
買い手が多いということは、取引相手を見つけることができない買い手がいるわけで、そうした買い手は売り手に「ほかの買い手に売らずに私に売ってくれれば、ほかの買い手より高く買いますよ」というでしょう。
そうして次々と買い手が高い値段を提示するようになり、結局買い手の何人かが諦めたり、売る気がなかった売り手が参加したりして、買い注文と売り注文の量が等しくなるわけです。
理屈は以上なのですが、ガソリンスタンドで売っているガソリンの値段も、そうした原理で変動しているのでしょうか。別に需要が増えたとも思われないのに値上がりしたり、需要が減ったとも思われないのに値下がりしたりしますね。
なぜでしょう? それは、ガソリンの値段がニューヨークで決まっているからなのです。
原油価格はニューヨークで決定するので…
ガソリンスタンドは、仕入れたガソリンの価格に諸コストと適正利潤を上乗せして販売するのが普通です。諸コストというのは、従業員の給料、ガソリンスタンドを建てたときの費用の減価償却費、銀行借入の金利などですから、それほど大きく変化するものではありません。適正利潤も、それほど大きくは動かないでしょう。
つまり、ガソリンの価格が大きく変動するのは、ガソリンの仕入れ価格が大きく変動するからなのです。
原油価格は、ニューヨークで決まります。世界中から原油を売りたい人と買いたい人がニューヨークに集まって売り買いをするからです。
ガソリンスタンドはそこで決まった値段で原油を輸入しますが、ニューヨークで決まる値段はドル建てなので、支払いのために銀行でドルを買う必要が出てきます。そして、ドルの値段もまた、ニューヨークで決まるのです。
世界中で原油やドルを売り買いしたい人がニューヨークに集まるため、原油やドルの値段がニューヨークで決まり、その値段を使って、ガソリンスタンドがガソリンを仕入れるわけですね。
だから日本国内のガソリンの需要と供給とは無関係に、ガソリン価格が変動するわけです。
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