「3ステップ」なくしてユーザー情報の入手は不可能
サブスクリプションモデルが登場したことにより、マーケティングにおける最も重要な指標が、CVRやCPAなどのコンバージョンに関する指標ではなく、LTV(顧客生涯価値)に変わった。LTVを高めるためにはユーザー一人ひとりを知るのが大切だ。
ではWebマーケティングにおいて、企業がユーザーの情報を初めて取得できるのはいったいいつか。それはランディングページ(以下、LP)、エントリーフォーム(エントリー内容の確認ページを含む)、サンクスページの3つのプロセスに入ってきたときだと考える。
もちろんLPに入ってこなければエントリーフォームに入力することはないし、エントリーフォームに入力したのちに申し込みや購入のボタンをクリックしなければサンクスページに移動することもない。本当の意味で「初めて」といえるのはLPだけだが、それぞれ取得できる情報が違うためこの3つを挙げている。
LP・エントリーフォーム・サンクスページで取れる情報
それぞれのステップでどのようにデータを収集するかは後述するとして、ここではそれぞれのステップでどのようなデータが取れるかについて、簡単に概要を述べようと思う。
まずLPでは、提供側企業が訴求している内容に対するユーザーの率直な反応が取れる。申し込みをする人はLPのどこを読んでいるのか、逆に途中で離脱した人はどこを読み込んでいたのか、流入元によってユーザーの反応はどう違うのかなどが分かる。
正確なクラスタリングを行うには、最低でも3つのデータ(デモグラフィックデータ、ジオグラフィックデータ、サイコグラフィックデータ)が必要だが、3つのうち、サイコグラフィックデータはここで取ることができる。サイコグラフィックデータとはユーザーの価値観、ライフスタイル、好みなど心理学的なデータのことであり、LPのアクセスや流入元から解析することが可能だからだ。
次にエントリーフォームでは、デモグラフィックデータ(年齢、性別、家族構成、職業など)、ジオグラフィックデータ(地域特性、気候、人口など)を取得することができる。ジオグラフィックデータは直接入力することはほぼないが、住所などのユーザーの入力情報から紐付けることが可能だ。
最後にサンクスページでは、アンケート等を実施すればユーザーを知るためのさらに深い情報を取ることができる。
なおサンクスページは情報を取るだけではなく、商品理解を促進し、商品の付加価値を高められるページであり、ユーザーに対してクロスセルやアップセルを促すことも期待できる。LTVが最重要の時代において、サンクスページの良し悪しは大きなテーマだといえるだろう。
「3ステップの成否」が事業成功の分かれ目
LP、エントリーフォームおよびサンクスページの3つのプロセスの重要性は、いくら言っても言い足りない。
LTVを高めるということの意味合いは極めて単純で、他社に浮気せず、自社の商品・サービスを買い続けてくれるようにするということに尽きる。
もちろんここまでユーザーの趣味嗜好が多様化した現代において、1社の商品だけを使い続けるということは考えにくい。したがってLTVを高めるためには、最初の選択肢として自社が選ばれることを目指すのが必須条件となる。
そのための方策としては、まず会員登録してもらい、ユーザーが求める情報を送り続け、何度もリピート購入をしてもらうということが考えられる。例えば、会員特典を付けたり、会員向けクーポンを発行したりすることも手段としては有効だろう。
それ以上に有効な手段、もはや一つのビジネスモデルとして定着しつつあるのが、会員制サービスの究極の姿であるサブスクリプションサービスだ。毎月・毎年、定額のお金を支払い続けてくれるため、最も確実なリピート購入といえる。
通常の会員制サービスでもサブスクリプションでも、会員であり続けてくれないと意味はない。サブスクリプションサービスの平均的な解約率は、25%前後(Zuora調べ)であり、持続的にビジネスを成長させていくには、解約率を10%以下にすることが望ましい。そして高い解約率に陥っている会社を調査すると、先述した3つのステップでしっかり情報を取れていないことが高い解約率の原因だと判明するのだ。
繰り返しになるが、ユーザーが会員登録したサービスをすぐに解約するのは、商品やサービスが期待していたものと違っていたからだ。ユーザーの期待ポイントは人それぞれだが、実はLPでユーザーのデータがしっかり取れていれば、集客時の訴求内容を見てみることで、その商品・サービスがどのような期待をされていたかが概ね分かるようになっている。
ユーザーの期待が分かれば、申し込みをしたユーザーに対して高くなり過ぎた期待値を調整し、適切な情報提供をすることが可能となる。
高原 英実
株式会社Macbee Planet 執行役員プロダクト本部長
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