長引くコロナ禍…GDP成長率、下方修正
最初にフィリピンの経済ニュースです。いくつかの専門機関がコロナ対応で未だ苦戦しているフィリピンの2021年GDP成長予測を下方修正しました。フィッチは、今年のフィリピンのGDP成長率を6.5%から6.3%に下方修正。アジア開発銀行(ADB)は成長率の見通しを6.5%から4.5%に引き下げています。
フィリピンでは、ワクチン確保はできているものの、日本同様摂取が遅れている関係で、様々な経済活動がまだ緩慢で、政府も経済を支えるために非常に大きな支出を継続していることから、財政赤字は3月に加速して1,910億ペソとなりました。当然に第1四半期の外国人入国者数は対前年98%と急減しています。
企業ニュースとしては、今回のフィリピン市場最大のIPO「モンデニッシン」に続いて、食品メーカーの「デルモンテ」が383億ペソのIPOを申請しました。コロナ禍でも堅調な業績を維持している大手食品メーカーのIPOに注目が集まっています。
また、クリーンエネルギー銘柄として、株価が急上昇し、資金需要が旺盛な「ACエナジー」が、公募増資を計画しています。6.50ペソ前後の公募価格が設定される予定です。
さらに9社が第1四半期の企業業績を発表。4社が予想数値を上回り、4社が下回り、1社が予想通りとなりましました。
外国人取引…11週連続の売り越し
株式市場は、前週比では7%の減少となり、3週連続のマイナスとなりました。外国人の取引は、売り越し36億ペソとなり、11週連続の売り越し、年初来からの売り越しの累計は474億ペソとなっており、外国人が買い越しに転じるには、ワクチン摂取の加速と新規感染者数の押さえ込みが必須と見られます。
特にマニラ地域での感染者が多いため、長期間にわたって厳しいロックダウン措置をとることを意味し、マニラ地域の住民が経済全体の50%以上を占めることからも、経済全体に悪影響を及ぼしています。フィリピン株式市場の本格的なリバウンドには、もう少し時間がかかりそうです。
PERの観点から見ると、フィリピンの株式市場は現在17.5倍で、5年および10年の過去の平均値である18.0~18.2に比べてやや割安となっています。
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