確かに、その一面は否定できません。仕事についていけなくなった同僚は、早々に辞めていきますし(辞めざるを得なくなる、といったほうが適切でしょうか)、その後釜として、新しい仲間がすぐに入ってくる、といったことはよくありました。
また、ヒラ社員で転職してきた者が、数年後には部長職に抜擢されるケースもありました。まさに、下剋上の世界でもあると言えます。
しかし、経験上、普通にやっていれば(上司との相性次第ではありますが)、給料は、勤続年数に応じて、毎年間違いなく上がっていきます。
「成果主義の権化」と思われている外資系企業にも、実は、年功序列的な要素が、さりげなく入っているようです。
「勤続年数重視」のほうが、生産性向上に繋がることも
会社の中には、ある程度の年月をかけないと、結果が出ない仕事や職場も、数多くあります。考え方によっては、勤続年数を重視するほうが、「生産性の向上」に適している場合もあります。あくまでも、制度の運用次第ということになります。
外資系企業の日本法人で、社長として、長年活躍している知人の話です。
「成果主義は、全社の業績が今後も拡大していくという大前提のもとに成り立つもので、その環境があって初めて、個人の成果も出せるんです。継続して良い業績が見込めないのであれば、むしろ、昔の日系企業にあった年功序列制度のほうが、はるかにフェアな評価ができると思いますよ」
会社業績の継続的な拡大が見込めなければ、成果主義は「逆効果」になる、ということでしょうか。
なお、この会社は、グローバルベースで、10年以上にわたり、増収増益を続けており、その間、「ベースアップ」も、毎年継続して実施しているとのことです。「業容拡大の成せる業」かもしれませんが、特筆すべき事例であるとも言えます。
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中山てつや
1956年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。日系製造メーカー及び外資系IT企業を経て、主にグローバル人材を対象としたキャリアコンサルティングの仕事に携わる。
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