白内障手術…「成功する病院、避けたい病院」は一発で見抜ける

誰しもかかる病気、「白内障」。症例が多いゆえに治療技術の進歩が著しく、今では成功率95%と言われれています。しかも白内障だけでなく老眼や乱視なども治せる眼内レンズもあるなど、「目の若返り手術」としても注目されています。しかし、だからといって「とりあえず手術すればいい」とは行きません。白内障手術で後悔しないために、現役眼科医が「選ぶべき病院の条件」をレクチャーします。

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患者目線の医療機関は「眼内レンズの種類が多い」

眼内レンズの選択肢が広い、つまり、多くの種類の眼内レンズのとり扱い実績があるということは重要です。

 

実際に、限られたメーカーの眼内レンズしか扱っていない医療機関もよく見られますし、医師自身が扱いに慣れた眼内レンズを患者に勧めることも珍しくないようです。「医師にとっての扱いやすさ」ではなく、「患者にとっての最良の選択」ができるような医療機関を選びたいものです。

 

しかし、医師にとって慣れたレンズを使うことは、メリットもあります。日本の眼科医1人が年間で扱う眼内レンズは、平均200〜300件といわれています。

 

10種類のレンズを20眼ずつ扱うのか、2種類のレンズを100眼ずつ経験するのか―。メーカーによって、レンズの扱い方は大きく違いますから、医師にとって不慣れなレンズを使うことで、最良の結果とならない可能性もあります。「手術を担当する医師におまかせする」ことも、決して間違った選択ではないのです。

 

しかし、もちろん医師の知識が豊富であるに越したことはありません。豊富な眼内レンズについて一つひとつの特徴や、患者の生活にどのような影響があるかを詳しく説明してくれる医師ならば、間違いが少ないと思います。

 

また、1人の医師が手術を手がけているよりも、グループで運営している医療機関のほうが、扱うレンズの母数やデータが揃っています。私のグループでは、年間1万6000枚ものレンズを扱い、特徴や術後のデータを共有しています。

 

また国内外で新しく出た眼内レンズは、必ず入手し研究するようにしています。患者の要望に応え、客観的にレンズの質を判断し、よりよいレンズを提案できるようにするためです。

 

なお、多焦点眼内レンズのうち、手術費用の一部の負担を軽減できる「選定医療」認定の眼内レンズを使うためには、厚生労働省が認可した「選定医療を実施している医療機関」で治療を受ける必要があります。

 

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成功率95%でも油断禁物…「緊急時の対応力」が肝心

白内障手術は、成功率が95%以上といわれる安全性の高い手術です。しかし割合としてはわずかですが、手術である以上、術中や術後に合併症が起こる可能性もゼロではありません。そうした緊急時の対応もしっかり確認をしておいてください。

 

緊急時の対応とは、具体的には次のような点です。

 

●眼内炎になって硝子体手術が必要になった場合

●嚢が破れて水晶体が硝子体の中に落ち、硝子体手術が必要になった場合

●緑内障の発作が起こった場合

●角膜内皮細胞が極度に減少して角膜移植が必要になった場合

●不用意な乱視が出て、矯正の必要が生じた場合

●心筋梗塞などで全身症状が悪化し、緊急対応が必要になった場合

 

私のクリニックグループでは若手医師の施術でも、必ず経験豊かな医師がつくようにしていますので、合併症や硝子体手術などにも常に対応ができる体制をとっています。

 

一般的な眼科クリニックでは、地域の中核病院などと連携をしているところが多いと思いますが、少なくとも眼の合併症については、病院の規模の大小よりも、技術の優れた眼科医とつながりを持っているか否かがより大切になります。

選ぶべきは「手術後のおつきあい」ができる医師

白内障手術の多くは日帰りで済みますが、治療は手術をしたら終わり、ではありません。手術後も定期的に眼科医の診察を受け、眼や眼内レンズの状態をチェックしてもらう必要があります。また手術直後や、時間の経過とともに補正が必要になることもあります。そうした術後のケア、補正などにきちんと対応してもらえるかどうかも確認しておいてください。

 

手術の経験豊富な医師ならば、手術の際にすでに術後の補正も考えて施術をしてくれるものですし、患者の眼の状態や生活状況が変わったときに、どういう対策が可能かという提案をしてくれるはずです。

 

そういう技術のある医師、患者の希望や生活をよく考えてくれる医師ならば、手術後もよいおつきあいがしていけることと思います。

 

逆に、治療費の安さや簡単な手術であることをむやみに強調する、患者の生活や眼の使い方について十分話を聞いてくれない、眼内レンズの種類が少なく特徴などについての説明があまりない、高額な多焦点眼内レンズばかりをしつこく勧める、緊急対応や術後の補正などについて納得できる説明がない、といった場合は、ほかの医療機関をあたったほうがいいでしょう。

 

白内障手術はその後の人生にもかかわる大切な眼の手術です。ご自分でもよく吟味して、信頼のおける眼科医・医療機関を選んでください。

「安心して手術できる病院」の条件5つ

最後に、私たちが考える「白内障手術を安心して受けられる医師・医療機関」を選ぶポイントをまとめておきます。

 

****************

<手術を安心して受けられる病院5つの条件>

①医師のレベル

●執刀数

●合併症の経験

 

②施設の質

●支援機器が揃っているか

 

③眼内レンズの選択肢

●海外・国内あわせて、数多くの眼内レンズのなかから、患者一人ひとりに合ったレンズを提案できるかどうか。

●眼内レンズに対する医師の知識も重要!

 

④緊急時の対応

●合併症手術の経験があるかどうか

●硝子体手術のできる医師がいるかどうか

 

⑤術後のケア・補正

術後の定期受診に通いやすい距離かどうか

安心して通える眼科専門医がいるかどうか

****************

 

 

市川 一夫

日本眼科学会認定専門医・認定指導医、医学博士

 

市川 慶

総合青山病院 眼科部長

 

 

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株式会社中京メディカル 代表取締役 日本眼科学会認定専門医・認定指導医
医学博士

1978年愛知医科大学医学部医学科卒業。83年、名古屋大学大学院医学研究科博士課程外科系眼科学修了。社会保険中京病院眼科医長、主任部長を経て現在眼科顧問。眼科医療の世界では一人の医師が行う白内障治療手術の平均が年間200~300眼程度とされる中で、今でも年間3,000眼以上を執刀し生涯執刀数は80,000眼を超える。

94年、中京病院を中核とするクリニックグループを支援する株式会社中京メディカルを設立し眼科専門医の指導育成にも尽力する。ライフワークともいえる色覚研究歴は42年。83年より白内障治療における色覚の補正に着目し、世界初の着色眼内レンズを開発して商品化する。

92年、米国ASCRS(American Society of Cataract and Refractive Surgery)のフィルムフェスティバルにて“Natural View IOL(NV-IOL)and chromatopsia”(着色眼内レンズ)の題名で1st prizeを獲得。92年から日本臨床眼科学会にて色覚インストラクションコースを担当。2020年から公益社団法人日本白内障屈折矯正手術学会の理事長に就任。現在色視力の測定装置を開発し、色視力の普及にも尽力している。

公益社団法人日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)理事長/ヨーロッパ眼科学会(ESCRS)会員/アメリカ白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)会員/アメリカアカデミー眼科学会(AAO)会員/日本産業・労働・交通眼科学会理事/日本眼科学会専門医制度認定指導医/日本臨床眼科学会専門別研究会「色覚異常」世話人/中京グループ会長/医療法人いさな会中京眼科視覚研究所所長/JCHO中京病院眼科顧問

著者紹介

総合青山病院 眼科部長 

2008年愛知医科大学医学部卒業。2008年4月より社会保険中京病院にて勤務を開始する。2010年より中京病院の眼科を担当。2013年7月からは岐阜赤十字病院眼科で診療・執刀を行う。2016年、Best of JSCRS(Cataract)受賞。2019年7月より総合青山病院にて眼科部長に就任。専門領域は白内障手術、眼形成。レーザー白内障手術、日帰り白内障手術執刀医として第一線で活躍している。

アメリカ白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)、アメリカアカデミー眼科学会(AAO)、眼科手術学会、白内障学会、日本眼形成再建学会、日本涙道・涙液学会、眼感染症学会、日本眼内レンズ屈折手術学会、米国白内障屈折矯正手術学会に所属。水晶体研究会世話人。

著者紹介

連載「一生よく見える目」を手に入れる白内障手術

※本連載は、市川一夫氏・市川慶氏の共著『「一生よく見える目」を手に入れる白内障手術 改訂版』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

「一生よく見える目」を手に入れる白内障手術 改訂版

「一生よく見える目」を手に入れる白内障手術 改訂版

市川 一夫

市川 慶

幻冬舎メディアコンサルティング

自分の目に合う白内障手術とは? 約8万眼の白内障手術を行ってきた日本トップクラスの白内障専門医が徹底解説! 「レンズは何を選べばいいの?」 「手術に失敗したらどうする?」 「レーザー手術がいいっていうけれど本…

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