子どもの貧困…ニュースでもよく耳にする言葉ですが、周囲に困窮している子どもがいないので実感がない、という人がほとんどでしょう。日本における貧困問題について見ていきます。

最近よく耳にする「子ども食堂」…その実態は?

子ども食堂という言葉を聞いた人も多いでしょう。地域の子どもたちや保護者などに食事を提供するコミュニティで、NPO法人や地域住民によって運営されています。また大手コンビニストアチェーン、株式会社ファミリーマートが「ファミマこども食堂」を展開していることからも、その名が広く知られるようになりました。

 

NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえが昨年12月に公表した調査によると、2020年時点で全国に4960の子ども食堂があり、2018〜2019年の1423箇所増に次ぐ増加数としています。

 

子ども食堂の役割は主に2つ。地域交流の拠点としての役割と、子どもの貧困対策としての役割です。経済的理由や家庭の事情で、栄養のある食事をとることができない子どもたちを支援しようと生まれました。その元祖は、2012年、東京都大田区にある「気まぐれ八百屋だんだん」だと言われています。

 

このような話題に触れるたび、「満足に食事がとれない子どもなど、この日本にそんなにいるのか」と疑問に思うでしょう。子どもたちからも「日本ってそんなに貧乏なの? 周りにそんな友だち、いないよ」という声を聞きます。

 

子どもの貧困が議論されるときに取り上げられるのが「相対的貧困」です。これは、その国の生活水準と比較して困窮した状態を指し、世帯所得が標準的な所得の半分以下の世帯の割合を指します。政府が初めてその数値を公表したのが2009年ですから、最近になって「子どもの貧困」というワードを聞くようになったのは仕方のないことです。政府はここから「子どもの貧困対策推進法」の改正を進め、子どもの貧困問題を支援する動きを活発化させたのです。

 

厚生労働省が2020年7月に公表した『2019年 国民生活基礎調査』によると、子どもの貧困率(17歳以下)は13.5%。7人に1人が貧困状態にあるという結果になりました。2015年の前回調査よりも0.4ポイント改善した、ということですが、このコロナ禍、現在は悪化している可能性が指摘されています。

 

もう一人じゃ無理…(※画像はイメージです/PIXTA)
もう一人じゃ無理…(※画像はイメージです/PIXTA)

日本は世界的に見ても「貧困層」が多い

またOECDの所得定義の新基準にづき算出した相対的貧困率では15.7%、子どもの貧困率は14.0%です。2017年の発表によると、日本の相対的貧困率はイスラエル、アメリカ、トルコ、チリ、メキシコ、エストニアに次いで第7位。ちなみに一番低いのはアイスランド、デンマーク、チェコと続きます。

 

相対的貧困率が高いということは、国内格差が大きいということ。日本では昨年からOECDの平均値を上回り、格差の拡大が続いています。

 

相対的貧困率、15.7%のうち、その半数にあたる48.3%がひとり親世帯。国勢調査によると、平成2年調査では、母子家庭は55万1977世帯で全体の1.36%、父子家庭は10万1705世帯で、全体の0.25%でした。その25年後の平成27年調査では、75万4724世帯で全体の1.42%、父子家庭は8万4003世帯で全体の0.16%。母子家庭の増加が目立ちます。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、男女ともに年齢が上がるにつ入れて賃金はあがっていきますが、男性に比べて女性は上昇が緩やか。性差による収入の格差は依然として大きく、母子家庭の窮状が見て取ることができます。

 

■年齢階級別 女性の賃金推移

20~24歳 20万9400円(男性:21万4600円)
25~29歳 23万3400円(男性:25万2600円)
30~34歳 24万6800円(男性:28万9200円)
35~39歳 25万8500円(男性:32万8300円)
40~44歳 26万8300円(男性:36万700円)
45~49歳 27万1100円(男性:38万7900円)
50~54歳 27万4700円(男性:41万9600円)
55~59歳 27万1100円(男性:42万100円)

 

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