あらゆるところで表面化する高齢化問題。そのひとつにマンション居住者の高齢化があります。そこには高齢者が抱える、深刻な問題がありました。国土交通省が公表している資料から見ていきます。

築古マンション…所有者不明の空き家が増加

急激に高齢化が進んでいるといわれています。実際、どのような現状かというと、2020年9月15日の推計によると、日本の総人口は前年から29万人減少したにも関わらず、65歳以上の高齢者は30万人ほど増加して3617万人と過去最多を更新し、総人口に占める割合は28.7%と、前年に比べて0.3ポイント上昇しました。

 

男女別にみると、男性は1573万人、女性は2044万人。年齢階級別にみると、団塊の世代を含む70歳以上人口は2791万人で、総人口の22.2%、前年に比べて0.7ポイントの上昇。75歳以上人口は1871万人で、総人口の14.9%、前年に比べて0.3ポイントの上昇。80歳以上人口は1160万人で、総人口の同9.2%で、前年に比べて0.3ポイントの上昇となっています。

 

さらに国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、いわゆる団塊ジュニアが65歳以上となる2040年には、高齢化率は35.3%まで上昇する見込みです。

 

高齢化は色々なシーンにもあらわれてきていますが、そのひとつが「マンションの居住世帯」。国土交通省『平成30年マンション総合調査』によると、過去20年ほど変化を見ると、世帯主が50歳以下の割合が減少する一方で、60歳~70歳代以上の割合が増加しています。

 

さらに世帯主が70歳代以上の割合は、築20年程度のマンションで21.9%であるのに対し、築30年程度では37.6%、築40年程度では47.2%と、築年数が古くなるほど高くなっています。

 

築古になるほど、買い手や借り手は付かなくなるもの。高齢化が進んでいるマンションでは、所有者や借り手が亡くなれば、そのまま空室になることも珍しくないでしょう。同調査では空室があるマンションの割合は37.3%と、過去5年と比較しても減少していますが、空室戸数割合が20%超のマンションは1.2%へ増加。築古になるほど空室があるマンションの割合は高くなる傾向にあることから、“高齢化マンション”は今後も増加し、空室問題に頭を悩ませるオーナーも増えていくと考えられます。

 

さらにオーナーにとって頭の痛い問題なのが、「所在不明・連絡先不通の空室」。「所在不明・連絡先不通の空室」が~20%未満のマンションは約1.7%、「所在不明・連絡先不通*の空室」が20%を超えるマンションが約2.2%。双方合わせると3.9%になります。またここでも築古になるほど割合は増えていきます。

 

*マンション組合員(区分所有者)名簿により所有者が直ちに判明しておらず、 または判明していても所有者に連絡がつかないもの

 

空室があっても所有者が判明していればまだいいのですが、所在不明となると管理費や修繕費が回収不能となり、管理状態の悪化や大規模修繕の実施が不可能になるなど、さまざまな弊害が生じます。残された人とっても、良いことはありません。

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