M&Aの「売り手」と「買い手」の経営者の目的は?
売り手側の経営者には、主に以下のような目的があります。
・自社株式売却による現金の確保
・創業者や経営者としての利潤の確保
・子供や親族に後継者がいない場合の他者への事業承継
・会社の成長や存続を企図した他企業グループ傘下入り
・ノンコア事業の売却によるリソースや資金の確保(選択と集中)
・事業ポートフォリオの入れ替え
また、買い手側の経営者には、主に以下のような目的があります。
・マーケットシェアや規模の拡大
・事業の多角化
・商流の確保
・人材、許認可、設備、ノウハウ、顧客基盤、技術、ブランド等の獲得
・新規事業の立ち上げ→成長にかける「時間」を買う
・投資額の節約
売り手の側経営者が自社株を譲渡する場合、後継者不在で他社に承継するようなケースは「100%譲渡」が大半になると思います。
一方、一部の株式を譲渡する場合や、資本の調達が必要になって第3者割当増資を実施するような場合は、経営者としてどの程度の議決権を確保するのか、他者にはどの程度の議決権を付与するのか、調達したい金額と合わせて綿密に検討する必要があります。
また、買い手側経営者としては、100%議決権を取得して子会社とするのか、一定の影響力を持って事業上のシナジーを狙うのか等、M&Aの目的と取得する議決権比率をよく検討するようにしましょう。
議決権比率について、以下の数字と主な権利も挙げておきます。
・1%以上:株主総会に議案を提示できる権利
・3%以上:会計帳簿などを閲覧できる権利
・10%以上:株式会社の解散を請求できる権利
・90%以上:少数株主の保有する株式の売渡を請求する権利
なお、株主総会では、議決権行使が可能な株主の議決権の過半数が出席(定足数)し、出席した株主の議決権の過半数(普通決議の場合)、もしくは2/3以上(特別決議の場合)の議決権をもって可決されます。
濵島成士郎
株式会社WealthLead
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】