2025年には、日本企業全体の1/3にあたる127万社が「後継者不在」になると予想されています。会社を継承する人が見つからない場合、選択肢の一つとして考えられるのが「M&A(合併と買収)」です。しかし、M&Aにあまりいいイメージを持っていなかったり、何から始めたらいいのかわからなかったりする経営者もいます。そこで今回は、株式会社WealthLead(ウェルスリード)代表取締役シニア・プライベートバンカーの濵島成士郎氏が、M&Aの基礎知識をわかりやすく解説します。

M&Aの「売り手」と「買い手」の経営者の目的は?

売り手側の経営者には、主に以下のような目的があります。

 

【売り手側の経営者の目的】
・自社株式売却による現金の確保
・創業者や経営者としての利潤の確保
・子供や親族に後継者がいない場合の他者への事業承継
・会社の成長や存続を企図した他企業グループ傘下入り
・ノンコア事業の売却によるリソースや資金の確保(選択と集中)
・事業ポートフォリオの入れ替え

 

また、買い手側の経営者には、主に以下のような目的があります。

 

【買い手側の経営者の目的】
・マーケットシェアや規模の拡大
・事業の多角化
・商流の確保
・人材、許認可、設備、ノウハウ、顧客基盤、技術、ブランド等の獲得
・新規事業の立ち上げ→成長にかける「時間」を買う
・投資額の節約

 

売り手の側経営者が自社株を譲渡する場合、後継者不在で他社に承継するようなケースは「100%譲渡」が大半になると思います。

 

一方、一部の株式を譲渡する場合や、資本の調達が必要になって第3者割当増資を実施するような場合は、経営者としてどの程度の議決権を確保するのか、他者にはどの程度の議決権を付与するのか、調達したい金額と合わせて綿密に検討する必要があります。

 

また、買い手側経営者としては、100%議決権を取得して子会社とするのか、一定の影響力を持って事業上のシナジーを狙うのか等、M&Aの目的と取得する議決権比率をよく検討するようにしましょう。

 

議決権比率について、以下の数字と主な権利も挙げておきます。

 

【議決権比率に応じた権利】
・1%以上:株主総会に議案を提示できる権利
・3%以上:会計帳簿などを閲覧できる権利
・10%以上:株式会社の解散を請求できる権利
・90%以上:少数株主の保有する株式の売渡を請求する権利

 

なお、株主総会では、議決権行使が可能な株主の議決権の過半数が出席(定足数)し、出席した株主の議決権の過半数(普通決議の場合)、もしくは2/3以上(特別決議の場合)の議決権をもって可決されます。

 

濵島成士郎

株式会社WealthLead

 

 

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