エンダウメント投資とは、米国の名門大学などが実践している「寄付金で財団や基金を設立し、寄付で集められた資産を元本にして運用する投資」のことで、継続して高い利回りをあげています。今回は、エンダウメント投資がなぜ高いパフォーマンスをあげているのか、その強さの秘密に迫ります。※本連載は、GCIアセット・マネジメント代表取締役CEOの山内英貴氏の著書『エンダウメント投資戦略』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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過去の運用成績は「20年で年平均13.9%のリターン」

主要エンダウメントの運用状況は、それぞれにホームページで詳細に開示されています。ここでは、イェール大学エンダウメントの運用報告書をみていきます。

 

米国の大学は6月で一年度が終了します。イェールのエンダウメントも7月から6月までの一年間で報告を行っていますが、1994年からの20年間ではなんと年平均13.9%のリターンを上げています。2014年度末(6月末日)の資産規模は239億ドル(1ドル120円換算で2兆8700億円)に成長しています。

 

 

日本の大学では、最大規模とされる慶應義塾大学が480億円(第3号寄附金、平成25年度)、2004年に国立大学の独立行政法人化に伴い基金を設立した東京大学は100億円(平成27年3月)という規模であるのと比較すれば、いかに強固な財政基盤であるかおわかりいただけると思います。

 

2004年からの10年間でみると、2008年の金融危機をはさんで、経費控除後の年平均リターンは11.0%となっており、米国株式の年平均リターン8.4%、米国債券の年平均リターン4.9%をともに大きく上回っています。年次報告書では、その理由を「健全な資産配分とすぐれた積極的ポートフォリオ管理」によるものだと分析しています。

 

2008年の金融危機では一時的なマイナス・リターン(ドローダウンとよばれる、時価評価ベースの未実現損失)を出したものの、年平均で二ケタのリターンを20年以上にわたって実現してきたことは驚異的です。ハーバードも似たような結果です。

 

 

理想的な長期運用といえるでしょう。少なくとも、日本国内でこれほどの運用成果を出し続けている機関投資家の存在は聞いたことがありません。

 

どうしてイェールやハーバードには可能だったのでしょうか。彼らの運用スタイルには、他の投資家にはないいくつかの特徴があるのです。

 

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エンダウメント投資戦略

エンダウメント投資戦略

山内 英貴

東洋経済新報社

米国屈指の名門ハーバード大学やイェール大学は、実は世界でもっとも先進的な機関投資家だった! その投資哲学から実際の運用手法、さらには個人投資家のための活用事例に至るまでわかりやすく解説する。

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