外貨に対する厳しい規制を課しているスリランカ。しかし「パナマ文書」にスリランカ人の名前が見つかり、その規制の抜け穴の存在が明らかになりました。「パナマ文書」がスリランカに与えた影響について、スリランカで最も伝統がある法律事務所に尋ねたインタビュー記事の第2回です。

支払いに備えた国外資産も規制の対象に

――外貨規制がより緩和された2015年12月29日以降の状況を教えて下さい。

 

2015年12月29日以降、スリランカで外貨を稼ぐ人達向けの口座(foreign exchange earner account・FEEA)をもっている輸出業者、弁護士、ホテル業者などや、外貨預金口座をもつ人は、自由に国外送金ができるように緩和されました。

 

この緩和に伴い、国外資産の購入すら認められ、しかもその申告の義務もなくなりました。また国外企業の株式購入のための国外送金も可能になり、為替管理局あるいは財務省の許可を得る必要もなくなりました。唯一の制限は、自身の外貨口座にある資金しか送金が認められていないという点です。つまり、保有が認められている外貨ならば、自由に送金ができるということだったのです。

 

しかし、2016年4月22日に事態は変わりました。財務大臣が2016年4月1日付で特別号外の官報を公布し、スリランカから輸出された商品の支払代金に対する外貨規制の免除を無効にしたのです。そのため輸出業者たちは、これまで制限なく国外に外国為替を保有していたのが、以後、認められなくなりました。つまり2016年4月1日以降は、商品を輸出した日から90日以内に、受け取った支払代金をスリランカ国内に持ち帰るよう求められるようになりました。

 

今回の「パナマ文書」について言えば、そこで暴露された取引が2015年12月29日よりずっと以前のものではありましたが、外貨規制を緩和していくという政府の方針に転換を迫るものとなったのです。

業務上、オフショアでの口座が不可欠な場合も

――スリランカ人がオフショアに口座をもつ合法的な動機とは何なのでしょうか?

 

特定の職業に従事している人の中には、オフショアで口座を管理する必要があります。例えば、輸出業者は業務の性質上、スリランカ国外で外貨を保有しなければなりません。そのため、商品やサービスを購入する目的で国外送金が認められていたのです。

 

衣料品メーカーも生地やボタンを購入する必要があり、それらをドルで支払うよう求められます。そういうわけで輸出業者や衣料品メーカーは業務上の必要に限るかたちで、スリランカ国内外でドルの保有が認められていました。そして、もし余剰の収益があった場合には、スリランカ国内に持ち帰ることが求められていました。

 

(次回は、非合法なオフショア活用についてお伝えします。)

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年5月に掲載した記事「OFFSHORE ASSETS FOR DUMMIES: THE SRI LANKAN PERSPECTIVE」を、翻訳・編集したものです。

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