外貨に対する厳しい規制を課しているスリランカ。しかし「パナマ文書」にスリランカ人の名前が見つかり、その規制の抜け穴の存在が明らかになりました。「パナマ文書」がスリランカに与えた影響について、スリランカで最も伝統がある法律事務所に尋ねたインタビュー記事の第4回です。

悪質な犯罪行為の証拠がなければ…

――海外送金の規制が緩和された2015年12月29日以前にも、その規制が通り抜けられていたことが「パナマ文書」で明らかになりました。スリランカ政府は「パナマ文書」に名前が載っている人々にどのような処置を取りえるのでしょうか。

 

為替管理局は対象者に行政処置をとる権利をもっていますが、取りうる処置には厳しい制限がかかっています。そのため為替管理局ができるのは、せいぜい疑念がもたれる投資について調査をするぐらいでしょう。スリランカの銀行は、海外の銀行とリレーションを持ってはいますが、悪質な犯罪行為の証拠がなければ、海外の銀行と顧客情報を交換することは認められていません。

 

そもそもスリランカ人が国外の金融機関に口座を持つことは認められていません。例外として考えられるのは、たとえば留学先の国で口座を開設することですが、その場合でも帰国前に解約し、その時点での口座残高を申告することが法的に求められます。

留学時に開設した口座の多くが「休眠状態」で残存

実際には、過去に留学していた人たちの多くは休眠口座を保有したままです。もしそれが発覚すれば、為替管理局は解約を要求しますが、それに従いさえすれば特に咎められることはないでしょう。しかし、もし国外に口座を保有している理由を説明できず、その口座が今でも使われているように見受けられる場合には、形式上では為替管理法を犯していることになります。

 

先述のように、もし国外にある口座が休眠状態であることを証明できれば、為替管理局は口座にいくらお金が入っているかを調査することができず、所有者の説明を鵜呑みにするしかありません。為替管理局は口座を解約するよう要求はできますが、所有者は為替管理局に知られることなく、その口座からお金を引き出して別の口座に移すことも可能です。

 

国内の銀行口座ならば税務当局はチェックすることができますので、まとまった金額が定期的に送金されている場合、どういう目的なのかが問われる可能性があります。しかし、もしその送金が通常の銀行手続きに乗っていない場合、あるいは、納税者登録と結びついていない場合などは、当局が不審な動きを見つけることは難しいでしょう。

 

(次回、最終回はタックス・ヘイブンに法人を作るための具体的な方法についてお伝えします。)

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年5月に掲載した記事「OFFSHORE ASSETS FOR DUMMIES: THE SRI LANKAN PERSPECTIVE」を、翻訳・編集したものです。

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