外貨に対する厳しい規制を課しているスリランカ。しかし「パナマ文書」にスリランカ人の名前が見つかり、その規制の抜け穴の存在が明らかになりました。「パナマ文書」がスリランカに与えた影響について、スリランカで最も伝統がある法律事務所に尋ねたインタビュー記事の最終回です。

違法なオフショア活用を防ぐには、さらなる対策が必要

――(前回の続き)スリランカ政府は「パナマ文書」に名前が載っている人々にどのような処罰を取りえるのでしょうか。

 

「パナマ文書」に企業名が記載されていた場合、特に世界中を舞台に取引している企業であれば、会社の評判に大きな傷を与えることになります。また為替管理局は一度疑惑がかかった企業には細心の注意を払いますし、その疑惑に根拠がないことを証明するのは企業側の課題となります。富裕層の個人の場合、銀行を介して送金をしている可能性もありますが、もし通常の銀行手続きを介さずに国外送金されていた場合は、追跡するのは難しいでしょう。

 

一度は認められていた輸出業者による国外での外貨保有を、2016年4月22日に公布された官報特別号外で無効とされたのは、パナマ文書や租税回避問題などを踏まえた政府の対応だといえます。ただし今回の対応で、違法なオフショア活用を防げるかは、また別問題です。

タックス・ヘイブンに法人設立する具体的な方法とは?

――私がパナマ文書に名前を載りたいと思えば、どうすればよいのですか?

 

パナマにあるモサック・フォンセカ法律事務所に行って目的を伝え、イギリス領ヴァージン諸島で資産を管理するよう頼めばいいでしょう。実際にパナマ文書に載っている法人の大半はヴァージン諸島に置かれています。そして、モサック・フォンセカ法律事務所は、ヴァージン諸島にファンドを立ち上げて、あなたの資金の受け皿とし、あなたはそのファンドの株を取得することになります。

 

そのためには、いずれかの方法でスリランカ国外にお金を持ち出す必要があります。目が付けられないように、小額ずつ合法的に銀行を介して送るか、非合法な送金システムを使うかです。スーツケースにお金を詰めて持ち出すのはリスクが大きすぎます。

 

スリランカ国外にいる協力者に代わりに資金を払ってもらい、それをスリランカ国内で清算する方法も考えられます。あるいは、複数の銀行取引を経由して送金することもありえますが、資金を国外送金すれば痕跡が残りますので注意深くならないといけません。スリランカ公認の為替ディーラーたちは、実質、中央銀行の行員であり、大金の動きに常に目を光らせています。

 

そして、モサック・フォンセカ法律事務所に委任状を渡すか、ヴァージン諸島にスタッフを雇って管理を任せます。最終的には海外旅行に行くタイミングでその口座からお金を引き出し、あとは好きなように使えばいいのです。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年5月に掲載した記事「OFFSHORE ASSETS FOR DUMMIES: THE SRI LANKAN PERSPECTIVE」を、翻訳・編集したものです。

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